元気なハンク・ジョーンズを聞くならば



や、



のピアノからも分かるとおり、ハンク・ジョーンズのピアノは、端整で、控えめながらも、上質な味わいと芳香を放つピアノだということに異論はあるまい。

しかし、この手練のピアニストの持ち味はそれだけではない。

一昨年、私はブルーノートに彼のライブに行ったのだが、もう弾きまくるわ、弾きまくるわ。

強いタッチで、ガンガン弾く彼は、とても80代も半ばの老人とは思えないほどのパワーだった。

ま、あの肉食獣のようなドラムを叩くエルヴィン・ジョーンズの兄貴だからね(笑)。

彼の端整な面と、ダイナミックな面が、3:7の割合でうまく引き出されたフォーマットが、トニー・ウイリアムスとロン・カーターがリズム・セクションを務めるグレート・ジャズトリオだと思う。

このグループの録音は何枚か出ているが、やはり代表的なものは、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライブを収録したものだろう。



自分の息子より年下なんじゃないかと思われるドラマーとベーシストにあおられて、ハンク・ジョーンズは、元気にドライブするピアノを弾く。

ちょっと、煽られすぎなんじゃないの?と思わないでもない局面もあるが、それはそれでジャズの面白いところ。リズムセクション(この場合はドラムのトニー)が奔放だと、こうもアグレッシヴになれちゃうのね、という良い見本だ。

冒頭の《ムース・ザ・ムーチェ》の溌剌としたピアノはどうだ!

トニーのドラムソロも知的で元気だ。
長めのドラムソロだが、まったく飽きることはない。

しかも、ドラムソロの最後にトニーが鳴らしたハイハットの「チッ!」の一音。その直後にピッタリのタイミングでテーマに戻るところが最高にかっこいい。

パーカーナンバーのお次は、コルトレーン・ナンバーの《ネイマ》。
これも、原曲のまったりした演奏とは違う新鮮な解釈。
とくに、中盤の盛り上がりは、執拗に繰り返す、ロン・カーターの
「ンボ、ンボ、ンボ、ンボ…」のルート弾きがリズミックな効果を増長している。

他にも、エヴァンス愛奏曲でマイルス作曲の《ナルディス》や、またまたパーカーナンバーの《コンファメーション》など、ジャズの定番人気曲が目白押し。

このアルバム1枚で、ハンク・ジョーンズというピアニストの全貌が分かるわけではないが、良い意味で彼のアグレッシヴな面が引き出された好盤といえよう。

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