【豆知識】チャーリー・パーカー「ラヴァー・マン・セッション」の真実

1946年7月29日に、チャーリー・パーカーをリーダーとするダイアル・レコードによるセッションが行われた。

メンバーは、
トランペッターにハワード・マギー、
ピアニストにジミー・バン、
ベーシストがボブ・ケスターソン、
ドラマーがロイ・ポーターだ。

スタジオには午後2時頃にパーカーとマギーがやってきた。

しかし、パーカーはかなり衰弱をしていた。
なぜなら、麻薬密売人のムーチェが警察にしょっぴかれてしまったため、ヘロインの禁断症状が出始め、それをカバーするために、睡眠薬を大量に服用していたからだ。(ちなみにムーチェは、パーカーのナンバー《ムース・ザ・ムーチェ》のムーチェでもある)

睡眠薬のために意識朦朧のパーカー。
最初のナンバーの《マックス・メイキング・ワックス》はなんとかこなし、次曲の《ラヴァー・マン》はパーカーからの希望で演奏することになった。

イントロを奏でるピアノ。
しかし、朦朧としたパーカーは半分眠っていたのでテーマがおぼつかない。

いつものパーカーとは打って変わった朦朧とした演奏に終始してしまった。
もっとも、パーカー本人にとっては不本意な演奏だっただろうが、ベーシストのチャールス・ミンガスはこの《ラヴァ―・マン》を高く評価している。

そして3曲目の《ジプシー》。
脚元がふらつくパーカーをプロデューサーのロス・ラッセルが後ろから彼のことを支えてなんとか演奏が終了。

ラストナンバーの《ビ・バップ》は、最初の出だしはなかなか好調だったが、次第に勢いを失っていき演奏終了。

このときに収録された演奏は、『チャーリー・パーカー・ストーリー・オン・ダイアル Vol.1』に収録されている。

ストーリー・オン・ダイアル Vol.1 / チャーリー・パーカー, ディジー・ガレスピー, マイルス・デイヴィス, ワーデル・グレイ (演奏) (CD - 1997)
チャーリー・パーカー・ストーリー・オン・ダイアル Vol.1


録音を終え、タクシーでホテルに戻ったパーカーは、禁断症状のため、着ている服をすべて脱ぎ、喉が渇いたため、全裸でロビーに下り、酒を注文した。
20分後にも同じことを繰り返したため、ホテルのマネージャーがパーカーを部屋にとじこめ、鍵をかけ、外に出られなくしてしまった。

それから数分後、パーカーは煙草に火をつけたのだが、そのまま眠ってしまい、火がついたままの煙草が床に落ちてしまい、カーぺットに引火。

このボヤ騒ぎで、消防車とパトカーがかけつけ、パーカーは逮捕されてしまう。

逮捕後、ロス刑務所の中にある精神病棟に入院させられ、一週間後は、カマリロ州立の精神病院に1947年の1月下旬まで収容された。

パーカーの名曲の一つ《リラクシン・アット・カマリロ》の曲名の由来は、この時の入院生活に基づいているのだ。

▼ピアニストの名演も多いですね。
エクリプソ [Limited Edition, Original recording remastered] / トミー・フラナガン, ジョージ・ムラーツ, エルヴィン・ジョーンズ (演奏) (CD - 2009)
エクリプソ/トミー・フラナガン
※トミー・フラナガンの名盤『オーヴァー・シーズ』よりも、上記アルバムのバージョンのほうが勢いがあって個人的には好きです。


プレイング・ニューヨーク / 松本茜, ナット・リーヴス, ジョー・ファンズワース (演奏) (CD - 2010)
プレイング・ニューヨーク / 松本茜, ナット・リーヴス, ジョー・ファンズワース
※ライブでもよく演奏している18番。トミー・フラナガン・バージョンをよく研究、消化しています。

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