Akimitsu Iwase『36Hearts』

ここのところ、隔週金曜日には四谷の荒木町のバー「ゆうむ」で、「ジャズ聴き会」なるものを主催しているのですが、先日、関西からいらしてくれた方が持ってきたCDが面白かった。

岩瀬章光というピアニストの『36 Hearts』というアルバムなのですが、岩瀬氏は、京都では有名なピアニストとのこと。

シンプルなジャケ写、ライナーノーツもない上に、演奏者の顔も分からない。かろうじて半径1センチ程度の小さな円の中にメンバーのシルエットがあるぐらい。
初めてこのCDを手に取った人は、一瞬何のアルバムか分からないのではないのかな?
と言ったら、このCD、店頭には流通していないのだそうです。
持参された方曰く、「ストイックな方なんですよ」。
「初CDを50歳を過ぎて作ったはいいんだけれども、どう売っていいのか分からないみたいなんですよ(笑)」
ジャケ裏の曲目を見ると、ビル・エヴァンスのナンバーが中心に演奏されています。お客さんオススメナンバーの《ハウ・マイ・ハート・シングズ》を店内で再生してみます。おお~、まるっきりエヴァンスではないですか!
本当にこのピアニストは、エヴァンスに心酔していることがよく分かります。

オリジナルナンバーも続けて再生。
おや、こちらのほうが、よりいっそうエヴァンスっぽいではないですか!?

思うに、岩瀬氏は、エヴァンスのことを“食べちゃった”んでしょうね。だから出てくる音のどこを切ってもエヴァンス、いや、岩瀬と一体化したエヴァンスが音になっている。

だから、オリジナルナンバーを作曲して演奏するときも、吐き出されるテイストはエヴァンスそのもの。おそらく、そこには、エヴァンスだったらこう弾くだろうという「計算」も「読み」も無い。
無自覚に吐き出した音そのものがエヴァンス化してしまっている。
私にはそのように感じました。

世に言うパーカー派、パウエル派と称されるプレイヤーたちもまさにそうですが、一度憧れのジャズマンの音を骨の髄までバリバリと食べつくし、身体の内側から自分を通して表現が滲み出てくるのであれば、私はそれはそれでひとつのオリジナリティだと思います。

日本は京都のピアニストから、ここまで惚れられ、ここまで食べつくされ、ここまで継承されれば、ビル・エヴァンスも天国で苦笑しているに違いありません。


AKIMITSU IWASE TRIO 『36Hearts』

岩瀬章光(p)
Amirel Lachish(b)
塩入基弘(ds)
Matt Smith(ゲストギタリスト 2、6に参加)

1.Swing Thing(A.Iwase)
2.Bossa Mood(A.Iwase)
3.Walking Up(Bill Evans)
4.36 Hearts(A.Iwase)
5.How My Heart Sings(Earl Zinders)
6.Blue In Green(Miles Davis)
7.Beehive(A.Iwase)
8.Gloria'sStep(Scott Lafaro)
9.YUME(A.Iwase)
10.Polka dots and moonbeams(Burke-Van Heusen)

36hearts.jpg

このCDをお買い求めになりたい方は、岩瀬章光ジャズピアノ教室トップページの「お問い合わせ」からメールでご氏名、住所、必要枚数をお知らせください。定価:2500円

この記事へのコメント

  • わたなべ

    こんにちわ.先日Jazz聴き会におじゃましたわたなべです.
    さっそくブログで取り上げていてくださったんですね.ありがとうございます!しかも写真や宣伝文句まで書いていただいて恐縮です.

    エバンスを食った男岩瀬さんにも早速お知らせしておきます.さぞ喜ぶ事と思います.岩瀬サイトからこちらにリンクはらせていただいてよろしいでしょうか.

    では,またJAZZ聴き会など東京出張の折に参加させていただくかもしれません.その節はよろしくお願いいたします.
    2010年07月17日 09:55
  • わたなべさん

    先日は、ジャズ聴き会にいらしていただきありがとうございました。

    リンクはもちろんOKですよ。

    今回の記事は、少々文字数を削ったバージョンで、次号の「ジャズ批評」誌にも掲載予定です。

    是非、またいらしてください。
    2010年07月17日 11:25

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