ハイボールはある意味、国民酒っていうか。菊地成孔&矢野沙織



サントリーとのタイアップ立て看板。
Tower Records新宿店にて。

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人気サックス奏者2人のツーショットで、マッカランのハイボール。

そういえば、マッカラン12年は炭酸で割ったことはないなぁ。
なんか、このお酒本来の美味しさや味わいが無くなってしまう気がし、それがとても勿体ない気がして。←単にケチ?

だいたい、マッカラン飲むんだったら、ストレートか、ロックです。私の場合は。


若者の「酒離れ」、というよりも、そもそも「酒飲み習慣の無さ」。

これは、すでに10数年以上も前から飲料メーカーが苦慮していることで、なんとか若者にも酎ハイやビール以外のアルコール飲料の飲酒習慣を定着させるべく、苦労と試行錯誤を繰り返しているという話を、ことあるごとに代理店の友人から聴かされていたのですが(そのたびに、カッコいいジャズマンに呑ませるべきだよ、ロン・カーターのような外人ではなく、日本人のミュージシャンにね、と返答していました)、最近はタワーレコードとサントリーのタイアップ告知が盛んですね。

果たして、若者に広がるのか、飲酒文化?!

先日、荒木町の飲み屋のママからは「サラリーマンのおじさんたちからも飲酒習慣が消えつつある。このままじゃ飲み屋街も危ない」というリアルな話を聞いたばかりの私としては、ちょっと興味のあるテーマです。

いい酒=いい女&男

「早く大人になりたい症候群」だった十代の時分の私は、「イイ酒、イイ女&男」神話を信じきっていたのですが、それってやっぱり神話だってことにすぐに気がついた(笑)。

いい酒と人間性はまったく関係ない。
当り前だけど(笑)。

でも、いいじゃないですか、
たとえ、それが幻想でも、
イメージって大事だし、
たとえカッコ良くなくても、
イイ男、あるいはイイ女であろうとする心意気は大事であります(笑)。

カッコ良い自分とカッコ良い相手でありたいですね。

やっぱり、綺麗にお酒を飲める人って少ないよな、といつも思う。
もちろん、私の飲み方も、そんなに褒められたものではないかもしれない。

でも、いつだって私は綺麗にお酒を飲める人になりたいという願望はあります。

よく掃除をされ、手入れの行き届いた店のカウンターで酒を嗜むひとときというものは、単にアルコールで酔うためだけではなく、ジャズを聴いている時と同様、頭の中で膨らみゆくイマジネーションを愉しむ時間でもあります。

私は一人で飲むことも好きですが、やはり素敵な相手がいると、こちらも素敵であろうと見栄をはって背伸びをしてしまいますね。この年になっても。

いや、年齢はあまり関係ないのかな。

でも、この気持ちから生じる、ちょっとした緊張感が、身も心も弛緩しがちなアルコールタイムには、ほど良いアクセントとなってくれることも確か。

男はいくつになっても、そうあるべきなのかもしれないし、それがなくなった瞬間から単なる酔っ払いオヤジに転落してゆくのかもしれない(笑)。

ダンディズムっていうほど大袈裟なものではないにせよ、やっぱり油断すると、自分のあらぬ一面を曝け出してしまう危険もある液体(=酒)と対峙する際は、常に心の片隅に留めておいたほうが良いことなのかもしれない。

ビル・エヴァンスの、とろりとろける『ムーン・ビームス』ではあるけれども、単なる蕩けて呆けるムードミュージックに堕す一歩手前で踏みとどまっているのは、やはりどこかに緊張感をはらんだ音への厳しい眼差しがエヴァンスの内面に通底しているからだと思う。
ムーンビームス

ムーンビームス

  • アーティスト: ビル・エヴァンス,チャック・イスラエル,ポール・モチアン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/09/19
  • メディア: CD

それと同様、身も心も弛緩した状態でも、どこかクールであろうとする気持ちを持ちたいな、とは思います。

なかなか難しいことではありますが(笑)。

……と、たまたまピアノトリオのアルバムを引き合いに出しちゃったけれども、私の場合は、一人で呑むときは、ピアノよりも管の音が欲しくなることのほうが多いかな。

「一人静かに酒を呑む」のであれば、多くの人はピアノソロやピアノトリオが似つかわしいと感じているのかもしれないけれども、私の場合は、気分がどんどん沈降してゆくので、たまにはいいけど、やっぱり暖かく丸やかなホーン入りのジャズが聴きたくなるかな。

あるいはウェスやグラント・グリーンのようなギターでもいいけど。

今、たまたま「マッカラン12年」をソーダで割って呑みながら聴いているのは、ヒューストン・パーソンの『グッドネス』。
グッドネス!

グッドネス!

  • アーティスト: ヒューストン・パーソン,ソニー・フィリップス,ビリー・バトラー,ボブ・ブッシュネル,フランキー・ジョーンズ,バディ・コールドウェル
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2009/06/19
  • メディア: CD

ソウルといったほうが良いリズムセクションですが、これがまた、いい具合に染みてくるんだなぁ。

特に《ジャミラ》最高!

それにしても、マッカランのソーダ割りは、あんまい旨くないな~(笑)。
気分を変えてストレートグラスに注ぎ、飲み始めると、もっとキツい刺激が欲しくなるのよね。

先日も「夜ジャズ」はやっぱコレでしょ!と紹介したばかりなのですが、やっぱりエリック・ドルフィーでガーン!と飛ばしたい(笑)。
アット・ザ・ファイヴ・スポット VOL.1+1

アット・ザ・ファイヴ・スポット VOL.1+1

  • アーティスト: エリック・ドルフィー,ブッカー・リトル,マル・ウォルドロン,リチャード・デイヴィス,エド・ブラックウェル
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/09/19
  • メディア: CD

社会人になりたての頃、京都の「ブルーノート」で、地元の女の子と前後不覚になるまで浴びるように酒を飲みまくったことがあるんだけど(その時払った飲み代が、2人合わせて3万円以上だったから、かなり飲んだんだと思う)、そのときに泣いたり笑ったりドルフィーのアルトサックスに合わせて歌ったりしながら、身体を寄せ合ったり、互いのオデコをゴツン!とぶつけあったりと、酔いが回って何がなんだか分からなくなりつつある身体と心にガッツーン!と大音量で浴びた《ザ・プロフェット》が、毛穴の一つ一つからも染みに染みてきて、もうどうなってもいいや~!と心の底から思うと同時に、今この瞬間、自分自身が消えて無くなっちゃうことになんの矛盾も疑問も感じないという、とにかくドルフィーのアルトに、自分の全部を揺さぶられまくる体験をしてしまったせいか、酔いがしたたかに回れば回るほど、激しいサックスの咆哮が恋しくなってくるのかもしれません。

酔いが回れば回るほど、私はテンションの高い音を求める体質なようです。
アイラーだって、阿部薫だって、まったくOKよ!(笑)
むしろ、アルコールの度数が強くなればなるほど、ジャズに求めるテンションは高くなるかもしれない。

そして、私の中のジャズ心に火がつきまくり、エイヤ~!とばかりに“あばれはっちゃく”状態(笑)。

な~にが疲れた夜にピアノトリオだ、こらぁ~!と草食系軟弱ジャズ野郎は全員殴り飛ばしたくなる(笑)。

あ、いかんいかん、アルコールを嗜む際は、どこかクールであろうとする姿勢が大事だと書いたばかりなのに……。

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