大石学の『ステッピン・アップ』



先日、今井美樹の《幸せになりたい》についてを書きましたが(こちら)、この歌はメロディ、リズムのみならず歌詞もいいんですよね。

作詞者は上田知華(作曲も)。

サビの箇所で、都会の風景の描写がさり気なく出てくるところが、なかなか良くて、こちらの記事に《幸せになりたい》が好きな旨を書かれているいっきさんも、この部分が好きとのこと。

♪渋滞は毎日
 鳴らしあうクラクション
 行く人はみんな急いでる

あるいは、

♪さえない夏の空 
 少しだけ青い海
 灰色の高層マンション

の部分ですね。

この情景描写、
今から時代を20年以上バックすると、
どんな風景なのかな?と勝手に考えてみた。

これは、きっとフランス人女性監督が坂本龍一の1日に密着した『東京メロディ』に登場する、秋葉原や渋谷、原宿などの情景に近いのではないかと。

東京メロディ [VHS]

東京メロディ [VHS]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: VHS



今の東京に慣れた眼で観ると、かなーりレトロ。そして新鮮。
懐かしいと同時に、なんだか妙に恥ずかしい(笑)。

この恥ずかしさってナンダロ?

では、今の音楽で、ちょっとシラけた灰色のコンクリート群を秀逸に描いている音源は何かなぁ~?と考えていたら、iPodが大石学トリオをシャッフル選曲してきた。

Steppin’ Up

Steppin’ Up

  • アーティスト: 大石学,米木康志,セシル・モンロー
  • 出版社/メーカー: ewe records
  • 発売日: 2009/05/20
  • メディア: CD


この『ステッピン・アップ』というアルバムは、昨年の発売なのですが、けっこう懐かしさを感じさせるピアノなんですよ。

自分が高校生ぐらいのときの東京の風景を思い出させるようなピアノ、リズム、アレンジ。

シンセを駆使したり、おそらくはMIDIをつなげてるんだと思うんだけど、ピアノとシンセの同期演奏、それにちょこっとラップもはいったりしていて、音色の多さからは、カラフルなサウンド、なのかもしれない。

なのかもしれないけれども、どこか曇り空の元に映し出される引き締まった風景が通底してある。

決して極彩色のカラフルさではなく、どこまでもストイックさの漂う音の佇まい。

そこが結構、気にいっています。

これは高級オーディオで腕を組んで聴く類の音楽ではなく、iPodなどに入れて、町の中を歩きながら聴くジャズですね。

アウトドア・ジャズ。

多彩なバリエーションの曲群、しかし、グッと重心低めに、締まりのある演奏と、灰色漂う統一感。
これがまた、たまらないんだな。

若いリスナーにお薦めします。

うるさいジャズマニアには薦めない(笑)。
だって、再生したとたんに、これはフュージョンだの、ヒップホップの要素を取り入れた最近のジャズだのと、忙しい分類ごっこが始まりそうだからね(笑)。

この記事へのコメント

  • m

    「幸せになりたい」のバックコーラスは上田知華さんご本人で、おそらく今井作品における唯一の演奏参加だと思います。その意味でも貴重な曲です。

    なお、広瀬香美が内田有紀に書いた同名異曲がありますが、上田・今井のほうが先にでたんですよ。
    2010年04月15日 00:18
  • mさん

    そうだったんですか
    貴重な情報をありがとうございました。
    けっこう、あの肉感的なコーラス好きなんですよ。
    2010年04月15日 08:15
  • m

    「幸せになりたい」(上田知華さんのコーラス)を何百回聴いたか分かりませんが、未だに何て言ってるか分からない(笑 歌詞カードに載ってませんから。
    2010年04月25日 12:49

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