放送第67回「エレクトリック4ビート」(2)


お待たせしました。
土日に放送された(ミュージックバードのcross culture channelでは木曜日に放送されます)。

今回の放送テーマ「エレクトリック4ビート」でかけたアルバムと曲をアップしましょう。


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ベーシスト・池田達也氏が以前組んでいたサックスカルテット“ザ・ギフト”が
ハードボイルド・サスペンス映画『ミスティ』(主演:永島敏行 、つみきみほ)のために録音したサウンドトラックより《タイム・イズ・オールウェイズ・ランニング》。


※現在廃盤のようで、画像探せませんでした。Sorry!CDもTFMに置きっぱなしなのですよ。


池田さんは《タイム・イズ・オールウェイズ・ランニング》では、オリジナルで製作したフレットレスベースを弾いていますが、ペタペタに低くセッティングした弦高ならではの伸びる低音と、この伸びる音を統一された音価で刻み続ける4ビートのニュアンスは、極端なまでに平坦でフラット。

ウッドベースでは絶対に出せない独特なニュアンスがあります。


お次もフレットレスベース奏者です。
代表的なフレットレスベーシストといえば、ご存じ、ジャコ・パストリアス!

もうとにかく理屈抜きにこの音源でビックラこいてください!
とばかりに、『トリオ・オブ・ドーム』より《ダーク・プリンス》。

ドラムがトニー・ウィリアムス。
ギターがジョン・マクラフリンという恐るべき組み合わせ。

これは、もはや演奏ではなくて喧嘩ですね(笑)。

滅茶苦茶アグレッシヴなライブ演奏で、
あまりに凄すぎる演奏ゆえ、ライブ終了後トニーが吐いちゃったという逸話もある演奏です。

The Trio of Doom Live

The Trio of Doom Live

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Columbia/Legacy
  • 発売日: 2007/07/03
  • メディア: CD

この攻撃的で前のめりなニュアンスは、なかなかウッドベースでは出せないニュアンス。

強いていえば、昔のミロフラフ・ヴィトウスが、このようなオッカねぇノリをうねらせまくっていました。

次はスティーヴ・スワロウ。

彼は昔はウッドベース奏者でしたが、エレキベースに転向。

ウッドからエレキに持ち替えたベーシストの多くは、
ウッドベースの奏法をそのままエレキに流用しますが、
スワロウの場合は、
ゼロから、エレクトリックベースを新しい楽器とみなし、
ギタリストに運指を習ったり、
ジャズでは珍しいピック奏法で独自の奏法とサウンドを開拓した人です。

アップテンポのナンバーが2曲続いたので、
落ち着いた和みのナンバー、
カーラ・ブレイのピアノとデュオの『ゴー・トゥゲザー』より《シング・ミー・ソフトリー・オブ・ザ・ブルース》。
Go Together

Go Together

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Polygram
  • 発売日: 2000/06/27
  • メディア: CD

さて、ドジャズから離れて、ポップスのフィールドで奏でられるエレクトリックベースによる4ビートも覗いてみましょう。

ウッドベースに比べると、エレキベースは
その機動力と操作性の容易さゆえ、音価の調整をしやすいです。

音を切り、跳ねるようなスタッカート気味のリズムで、1つ1つの音の長さ、粒立ちを統一させながら演奏するのも容易。

ドナルド・フェイゲンの『ナイト・フライ』の《ウォーク・ビトウィーン・ザ・レインドロップス》で、うきうきした気分にさせてくれるウィル・リーのベースも、ちょっとクセはありますが、エレクトリック・ベースならではの4ビートの1つ言えましょう。

ナイトフライ<SHM-CD>

ナイトフライ<SHM-CD>

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Warner Music Japan =music=
  • 発売日: 2009/01/21
  • メディア: CD

いつ見てもジャケットが渋いアルバムです。

ジャズではありませんが、これはすべての音楽ファン必携といっても過言ではないほど、センスの良い音楽ばかりが封印された極上のポップスアルバムです。


もう1曲、ジャズから離れてエレキベースの4ビートの有効性を示す楽曲を。

椎名林檎と齋藤ネコがリーダーの『平成風俗』より、映画『錯乱』のテーマ。
《錯乱 Tera version》。

これ、ストリングスやホーンだけで20人を超える大所帯のバンドの演奏なんですね。
たくさんの楽器の重厚なアンサンブルに埋もれることなく、「通る音」として低音が存在しつづけるには、ウッドベースよりも、PAのコントロールをしやすいエレキベースのほうが有利。

もちろん、この手のサウンドをビジュアルで鑑賞するのであれば、ウッドベースが大所帯バンドの中にいてくれたほうが、楽器の大きさやカタチからも「ジャジーな音楽やってまっせ」と、ビジュアルアイコン的な効果はあります。

しかし、きちんと鑑賞者のみならず、バンドの各メンバーにもベーシストが奏でる低音を伝えるには、ウッドベースよりもエレキベースのほうがモニターの返しをしやすいのです。

ベーシストは高水健司さん。

大御所ベーシストです。
もちろんウッドベースも素晴らしい方なのですが、この編成の曲にはウッドではなくエレキを選択したところに、ミュージシャンとしてのセンスを感じます。

林檎ちゃんの歌唱や、
ゴージャスなアンサンブルと同時に、
高水氏の這うような堅実なエレクトリック4ビートをお楽しみください。

平成風俗

平成風俗

  • アーティスト: カリソメオーケストラ,ナダタルオーケストラ,マタタビオーケストラ,コノヨノオーケストラ,コマエノオーケストラ,ノラネコオーケストラ,アノヨノオーケストラ
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2007/02/21
  • メディア: CD

さて、最後は、アンソニー・ジャクソン。

エレクトリックベースで4ビートを弾くベーシストを語るには、スティーヴ・スワロウとアンソニー・ジャクソンの2名は欠かせません。

先日のブログ記事にもアップしたので細かいことについては省略しますが、もうとにかくアンソニーのベースはあらゆる面で完璧です。
カッコよい。
素晴らし過ぎ。

もうどうしましょう、って感じ(笑)。

お送りしたのは、ミシェル・カミロの『イン・トリオ』より《ユースド・トゥ・ビー・ア・チャチャ》です。

イン・トリオ

イン・トリオ

  • アーティスト: ミシェル・カミロ,アンソニー・ジャクソン,ジョエル・ローゼンブラフ,デイブ・ウェックル
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2004/08/04
  • メディア: CD

というわけで、本当は、ロリンズバンドで長年ベーシストを務めているボブ・クランショウ、
パーシー・ジョーンズ(とジャコの比較)、
マーカス・ミラー(マッコイのアルバムでフレットレスベースで4ビートを弾いているやつ)、
PONTA BOXの水野正敏(あるいは『電気スタンダード・ジャズ』)などの音源も用意して臨んたのですが、熱く語り過ぎてしまったために、今回は時間切れでした(涙)。

また機会があればやりたいと思います。


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