ルー・ドナルドソンと矢野沙織の《ブルース・ウォーク》



本日発売の矢野沙織の『ビ・バップ・アット・ザ・サヴォイ』の中でもとりわけ印象深いナンバー《ブルース・ウォーク》と、本家の作曲者、ルー・ドナルドソンによる《ブルース・ウォーク》を聴き比べ。

BEBOP AT THE SAVOY

BEBOP AT THE SAVOY

  • アーティスト: 矢野沙織,ジム・ロトンディ,Hideo Ichikiawa,ランディ・ジョンストン,Tomio Inoue,パット・ビアンキ,Hideo Yamaki,Fukushi Tainaka,Satoshi Onoue,Yoshiaki Sato,Whacho
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2010/01/20
  • メディア: CD

Blues Walk

Blues Walk

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Toshiba EMI
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD



ほんのり漂う哀感が魅力的なこの曲の旋律に、アルトサックスの音色がとてもよく似合います。

ルードナの場合は、
ピアノトリオ+サックス+コンガ
というワンホーン・カルテットにコンガが加わった編成。

矢野沙織バージョンは、
オルガントリオ+サックス
という編成。

ギターとオルガンが加わることによってソウルかつアーシーな雰囲気が音色からだけでも漂うのですが、アドリブの展開がだいぶ違いますね。

ルーさんの場合は、終始マイペース。
ゆったりと、終始おだやかにニュアンスに富んだ語り口。

いっぽう、矢野沙織バージョンは、
テーマの部分は、バックビートを効かせ、原曲のゆったりとしたムードを継承。
しかし、アドリブに突入すると、じょじょに温度が高まり、せっつくように前のめりになり、ラストはかなりエキサイトした演奏に盛り上がってゆきます。

もちろん、どちらの演奏も素晴らしいですし、「意外にも」と書くと、失礼かもしれませんが、矢野バージョンの《ブルース・ウォーク》も、最初に期待していた以上の演奏内容で、結構聴けます。

キャンディ・ダルファーや、メイシオ・パーカー好きにとっても、ソウルファンク色の強い盛り上がり方は、かなり納得のいく内容なのではないでしょうか。

いっぽう、終始土臭さを漂わせ、軽やかな諦観に近いまったりさを漂わせているルードナバージョンは、矢野バージョンと聴き比べてより一層ハッキリと分かったのだけれども、コンガの参加がかなり効いていますね。

レイ・バレットのコンガはコンガでも、そうとうにラテン色の薄い土臭いコンガが、この演奏の要なのではないかと。

また、決して流暢とはいえないハーマン・フォスターのピアノもいい味を出しています。

この適度なヤボったさが、ルードナバージョンの《ブルース・ウォーク》を《ブルース・ウォーク》たらしめているように感じます。

いっぽう矢野バージョンの《ブルース・ウォーク》は都会的。
パキッとしたメリハリ、コントラスト。
盛り上がりと、展開が鮮やかでキッチリとした音のストーリー展開。

田舎っぽい《ブルース・ウォーク》が長年身体に染みついている私なので、矢野バージョンのアカ抜け方には、ほんの少しの違和感を最初に感じましたが、これはこれでイイのではないかと思い始めている本日です(笑)。


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