しつこいようですが、新譜発売の本日ゆえ茜&沙織ネタで引っ張ります(笑)



純文学は通俗小説と違い、読者に媚びない。

必ずしも読者を癒さないし、時としてヒリヒリとした不愉快な感覚すら及ぼすこともある。

読み手にも、ある程度の素養が必要とされる側面もあり、単に今流行りの「速読」などで「内容を把握」するような目線で読むものでは断じてない。

ビ・バップという音楽も同様だ。

元来、コマーシャルかつ通俗化したジャズ表現に物足りなくなった意識の高い即興演奏家達が考えだした「真剣に即興をやるためのシステム」だからだ。

めくるめくスピードで、次から次へと畳みかけられる細分化されたコード進行。

これを元に弱拍を強調し、8分音符を基調としつつも、シンコペーションと3連を織り交ぜたメロディラインを瞬時に紡ぎあげてゆく即興システム。

いわば、頭脳と肉体を酷使する過酷な「音の試合」とでも言うべきか。

アスリートや格闘家が笑みを浮かべながら試合をする余裕がないのと同様、真剣に即興に取り組む際は、観客を意識した微笑みなど出来る余裕もないし、そもそもは聴き手に媚びる要素は皆無な音楽なのだ。

これはメロディをフェイクさせる従来の手法とは一線を画するシステムで、少なくとも演奏者にとっては、「曲の心」「情緒」などといった「俗」な感情は無縁な世界。

演奏者が聴き手に踏み寄ることがないぶん、聴き手のほうから表現者へ近づいてゆかなければならない。
少なくとも、「降りる人が降車してから電車に乗りましょう」などといった駅アナウンスのように、何から何までお節介を焼いてくれる世間に慣れた“庶民”がお手軽に癒しとやらを求める類の音ではない

そんなビ・バップという鹹(から)い表現手段を20代前半の2人の女の子が選択し、演奏を通じて世に問うている。

アルトサックス奏者の矢野沙織と、ピアニストの松本茜だ。この若き“バップ娘”の新譜が、今年1月20日に同日発売されたことは、なかなか興味深い出来事と感じた。

果たして、今の世の中、バップを受け入れ、愉しめるだけのキャパを持つリスナーがどれほどいるのかは分からないが、オレは応援するぞ~、オ~ッ!


BEBOP AT THE SAVOY

BEBOP AT THE SAVOY

  • アーティスト: 矢野沙織,ジム・ロトンディ,Hideo Ichikiawa,ランディ・ジョンストン,Tomio Inoue,パット・ビアンキ,Hideo Yamaki,Fukushi Tainaka,Satoshi Onoue,Yoshiaki Sato,Whacho
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2010/01/20
  • メディア: CD

プレイング・ニューヨーク

プレイング・ニューヨーク

  • アーティスト: 松本茜,ナット・リーヴス,ジョー・ファンズワース
  • 出版社/メーカー: タカギクラヴィア
  • 発売日: 2010/01/20
  • メディア: CD

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック