第65回『2009年ジャズ・年末ベスト』(2)


今日の夕方にようやく、今回の同録が届いたので、現在、それを聴きながらパソコンをパチパチ叩いています。

昨日、本日、大晦日放送の特集は「2009年・年末ベスト」。

ゲストはTOWER RECORDS渋谷店のジャズバイヤー、吉村健さんです。

1曲目の吉村さんオススメのManami Moritaさんの新譜『Colors』からの《ジャングルブック》は、昨日ブログで紹介したので割愛させてください。




2曲目は、私の選曲。

なんといっても、スガダイローさんっしょ!(笑)
『坂本龍馬の拳銃』です。

これをはじめて聴いたときは、突き抜けるような爽快感が全身を貫き、思わず「わを~!」と叫んでしまったほどです。




お次は吉村さんの番です。

ピアニストの丈青さん率いるソイル・アンド・ピンプ・セッションズ。

丈青氏は、椎名林檎ともプレイをしているんですよね。
とてもいいピアノ弾いてます。

吉村さんのセレクトは、今年発売されたソイル・アンド・ピンプ・セッションズの『6』より《KEIZOKU》。



スピードといい、パワーといい、迫力といい、
言うことなしの気持ちよさ!

渋さ知らズの拡散波動砲的破壊力にもう少し秩序が与えられ、オーネット・コールマンのプライムタイプの拡散型ケタタマシサを、一点集中型のケタタマシサに転じた感じのヒステリック&つんのめりパワーとでもいうべき、元気さく裂、音の運動会。

これを聴けば落ち込んでいるのがバカバカしくなってしまうほどの騒がしさとカッコ良さです。

さて、私の番なのですが、吉村さんの丈青さんを受けて、椎名林檎のアルバムです(笑)。

ジャズじゃないじゃん、J-POPじゃん、などと言って侮るなかれ。

『三文ゴシップ』の《色恋沙汰》のズンズン4ビートは、ヘタなジャズの4ビートを凌駕するほどの推進力です。

カラフル、
ちょっとレトロチック、
楽しくルンルン、
言うことなしです。



ショップ店頭では、ジャズ以外のコーナーに分類されているアルバムをセレクトした私を受けて、吉村さんは、ジャズマンのリーダー作なんだけれども、非ジャズ的なポップステイストのアルバムを選びました。

今をときめくドラマー、ブライアン・ブレイドのリーダー作なんですが、なんとブレイドはドラムではなく、ギター弾いて歌を歌ってるんですよね。
しかも、しんみり&ほのぼのとした上質なポップスに仕上がっていて2度ビックリ。

『ママ・ローザ』より《アフター・ザ・リヴァイヴァル》です。



ジャケットは地味ですが、というかタイとかカンボジアの露店の土産屋さんで売られているようなデザインと色調ですが(笑)、音はすばらしい!の一言。

個人的には『ONCE ダブリンの街角で』のようなアイルランド映画や、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ミッドランズ』のようなイギリス映画の1シーンに挿入すると、感動的に映えそうなサウンドテイストだと感じました。

さて、ジャズジャズしたナンバーに戻ります。

私の選曲で、クリスチャン・マクブライドの『カインド・オブ・ブラウン』より《ザ・シェード・オブ・ザ・シダー・トゥリー》。

『カインド・オブ・ブラウン』は、私にとっては、生まれてはじめてライナーノーツを書かせていただいた、記念すべきアルバムなのです。

だからといって宣伝のためにかけたわけではなく(笑)、演奏も良いのですよ。
竹を割ったように明快なストレート・アヘッド・ジャズ。

一番最初に手掛けたライナーが、素敵なアルバムだったので、私はとっても幸せ者です(笑)。



個人的には、フレディ・ハバード作曲の《テーマ・フォー・カリーム》がいちばんのお気に入りなのですが、レイ・ブラウン特集のときに一度かけたので、2番目に好きな《ザ・シェード・オブ・ザ・シダー・トゥリー》を選びました。

メランコリックな曲想に、躍動感のある低音。
これに色を添えるウォーレン・ウルフのヴィブラフォンがなんと澄んでいることか。

良いです。

私はライナー執筆中は、この音源をiPodに入れて、屋外で聴きまくっていました。
家の中だと気持ちが煮詰まってくるんですよ。

渋谷や近所の商店街を歩きながらコレを聴くと、とても気分が良い。
このアルバムのテイストを「アウトドア4ビート」と勝手に名付けさせていただいております(笑)。


さて、ラストの選曲は吉村さんの番。
TOWER RECORDSとしては、外せない「売れた!(売れている!)」アルバムです。

やはり、というか出ました、ノラ・ジョーンズの新譜。



これ良いです。好きです。

ファーストの『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』のイメージを期待して聴くと、肩透かしをくらうかもしれませんが、ノラ・ジョーンズの良いところをきちんと生かしつつ、新しい境地を違和感なく提示していると思います。

時間の関係で、番組内では会話がカットされていましたが、吉村さんとは「このサウンドは、“引き算の美学だよね”」ということで意見が一致しています。

つまり、おそらくは、ドナルド・フェイゲンの『ナイト・フライ』よろしく、様々なミュージシャンの様々な音を何トラックも録ったんだろうけれども、たくさんの音の中から、ベストな音の組合せを見つけて、残りの音は全部削っちゃたんじゃないかな? というようなことを感じさせる贅沢なサウンドなんです。

もちろん、これはあくまで想像ですが。

少ない音が効果的に配列され、それによって生まれる絶妙な音の距離感、バランスは、とても抜けが良くて気持ちがいいものです。

昔、私はサロン・ミュージックに夢中だった頃、たしか3枚目の『トップレス』が発売された頃、メンバーのお二人(吉田仁と竹中仁美)のレコーディングに対しての考え方を雑誌で読んで、なるほど~と思った記憶があります。



アルバム制作時においては、スタジオでたくさん音を詰め込むんだけれども、最終的にはそれらのほとんどを削ってスカスカなサウンドに仕上げる。
しかし、たくさん詰め込んだ音が無駄になるのかというと、必ずしもそういうわけではない。
たくさん詰め込むという作業、行程そのもに意味があると解釈する。
(今考えると、雑誌の編集や広告の製作過程と似たようなところがありますね。バッサリ切り捨てるための確信を得るために情報を集めまくることもありますから。)
このようなお二人の考えを雑誌のインタビューで読んだ記憶があるのですが、ノラ・ジョーンズの新譜『ザ・フォール』にはそれに近いものを感じます。

もちろん参加ミュージシャンの力量なくしては生まれえないことなのですが、演奏後の作業、つまり、編集、ミックスダウンにかなりの時間を費やして生まれたテイストに私は感じるのです。

吉村さんがかけたナンバーは、1曲目の《チェイシング・パイレーツ》でした。
新境地の幕開けに相応しいナンバーですね。

というわけで、今年最後にお送りしたナンバーはノラ・ジョーンズだったのですが、来年、年明け一発目の特集も「ノラ・ジョーンズ」です(笑)。

ゲストは、シンガーソングライターの上野まなさんです。

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お楽しみに!

この記事へのコメント

  • 音無館

    ご無沙汰で昨晩の放送を久方ぶりに聴きました。

    僕もスガダイローと林檎は好きです。

    ダイローさんはライブハウスでのライブ録音したCDも有ります。
    2009年12月28日 05:09
  • 音無館さん

    お久しぶりです。

    >僕もスガダイローと林檎は好きです。

    さすが音無館さん!
    素敵なアンテナと感性を相変わらずお持ちでいらっしゃいますね!

    >ダイローさんはライブハウスでのライブ録音したCDも有ります。

    本当ですか?
    聴きてぇ~~!!
    2009年12月28日 05:21
  • 音無館

    雲さん。

    編集してCD送ります。

    國仲勝男:BASS・OUD

    小山彰太:DR

    スガダイロー:PIANO
    2007.3.14 浦添市GROOVEでのライブ録音。
    2009年12月28日 10:07
  • 本当ですか?ありがとうとざいます。すごく嬉しいです。ダイローさん本人にもお渡ししようかな。國仲さんがベースなんですね。今となっては貴重な音源(笑)
    2009年12月28日 11:41
  • 音無館

    CDは今日のメール便で送ります。

    ミュージックバード宛てに。

    楽しみに。
    2009年12月29日 07:00
  • 音無館さん

    ありがとうございます!
    楽しみです!
    2009年12月31日 10:28

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