放送第59回『マイルスとマーカス』(1)

さて、今回の『高野 雲の快楽ジャズ通信~What Is This Thing Called Jazz?』のテーマは、「マイルスとマーカス」です。

本日(11/14)土曜日は、午後8時から、
コミュニティFM52局にて午後8時より、

明日(11/15)日曜日は、
午後10時から、ミュージックバードのジャズチャンネルにて、

来週木曜日(11/19)木曜日は、
午後11時からは、ミュージックバードのクロスカルチャー・チャンネルで放送します。

本日は、番組でかけた音源を紹介します。

まずは、ベタですが、
というか、ベタベタですが(笑)、
最初の掴みの1曲は、『TUTU』より《TUTU(ツツ)》。

TUTU(SHM-CD)
TUTU/Miles Davis


作曲、アレンジ、演奏、打ち込み、プロデュース。
マーカス・ミラーが全面的に参加している作品です。

古巣のCBSを離れ、ワーナーに移籍したマイルス・デイヴィスの第一弾です。
いまとなっては懐かしいオーケストラルヒットのサンプリング音とともに、重々しく始まるイントロ、そして直後にかぶさる思わせぶりなマイルスのミュート・トランペットがたまらない。

マーカスのベースもところどころにセンスの良いオカズが入れられていて、シンプルながらもなかなか考えられたアレンジの一曲です。

ちなみにジャケットのアートワークは、石岡暎子さんです。

2曲目は、映画『シエスタ』のサントラ、『シエスタ』より《オーガスティンのテーマ》。

シエスタ(SHM-CD)

まずは、エコーのかかったマーカスのバスクラリネットのプレイが耳を惹きつけます。
つづいて登場するマイルスの物悲しいトランペット。
静謐で絶望的な隙間風が吹いてくるような午後の蜃気楼のようなサウンド。
これも、バックのオケのほとんどがマーカスによるものです。

この作品には、随所にオマー・ハキム(ds)や、ジョン・スコフィールド(g)も参加してはいるのですが、ほとんどマイルスのトランペットを引き立てる役どころ。

これは切なさの極致とでもいうべき『スケッチズ・オブ・スペイン』の続編とでもいうべき、マイルスが描く「悲」の極致。

さて、マーカスがプレイに参加しつつも、メインは打ち込みトラックによる2曲をかけましたが、これらはあくまで前菜。

メインディっシュは、なんといっても、なんといっても、
『ウィ・ウォント・マイルス』の《ファースト・トラック》です。

ウィ・ウォント・マイルス
We Want Miles/Miles Davis


熱血15分!
超エキサイティング!
マイルス、こんなに熱くなっていいの? な凄まじい演奏です。

マイク・スターンのギターも熱い熱い。
ビバップの語法を覚えたてのハードロック・ギタリストばりにギンギンに飛ばしています。

アル・フォスターのドラムも彼らの攻撃を真っ向から受け止め、柔らかく包みこみ、最終的にはエネルギー感を増幅して演奏に還元しています。

マーカスは熱いけれども冷静。きちんと彼らの音楽の熱量についていき、支え、的確に煽っています。
演奏の司令塔ですらあります。

信じられないほどエキサイティングな15分強のこの演奏こそが、マイルスとマーカスのコラボレーションの頂点だと私は思っています。

ということで、
《TUTU》、
《オーガスティンのテーマ》、
《ファースト・トラック》。

今回番組で最初から最後までかけた曲は、この3曲のみ。わはは。

しかし、途中、マーカス・ミラー氏のインタビューを挟んだり、マーカスが子供の頃に慣れ親しんだ、ジャクソンズやアース・ウインド・アンド・ファイヤーの一部をかけたり、
あくまで私の仮説ですが、マイルスとマーカスの音楽性にじわりと侵食していったであろうスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンの『暴動』から《アフリカは君に語りかける~アスファルトジャングル》、《ジャスト・ライク・ア・ベイビー》、
それに『ウィ・ウォント・マイルス』より《ジャン・ピエール》の一部や、《バック・シート・ベティ》の冒頭などもかいつまんでかけていますので、このへんは番組をお楽しみください。

デスティニー(紙ジャケット仕様)

デスティニィー/ジャクソンズ

ベスト・オブ・EW&F(1)
ベスト・オブ・E&F

暴動
暴動/スライ&ザ・ファミリー・ストーン



最後に、訂正・お詫びです。

『キリマンジャロの娘』に収録されている、当時のマイルスの奥さん、ベティ・メイブリーを冠したタイトルの曲を、間違えて、《ミセス・ベティ》と言ってしまいましたが、
《ミス・メイブリー》の間違いです。

大ボケ……スイマセン(汗)。

この場を借りてお詫び申し上げます<(_ _)>

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