放送第60回『ジャズフルート特集』(4)


今回のフルート特集で、かけたいけどかける時間がないため割愛!だったフルート奏者が2名います。

1人は、ローランド・カーク。

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マルチリード奏者の彼は、様々な楽器を吹きこなしますが、中でも彼のフルートは絶品です。

フルートというよりも、もう彼の声そのものといっても過言ではなく、エリック・ドルフィーと同様、彼ほど肉体が楽器と一体化している人は珍しい。

まるで、体内の肉声が、たまたま細長い銀色の管を通じて出てきているだけと思ってしまうぐらい肉声力のあるフルート吹きだと思います。

おそらく、彼からテナーサックスや、マンゼロ、ストリッチを奪ったとしても、フルート1本あれば、並みのフルート奏者が束になっても太刀打ちできないほどの表現力のあるフルート奏者として活躍していたに違いありません。

それほど、カークのフルートプレイも素晴らしいのです。
我々は、サックスを3本くわえて同時にプレイするほうに興味が傾きがちですが、じつは、カークにとって最後で最強の懐刀的な楽器がフルートだったと私は信じて疑いません。

個人的には、アルバム『ヴォランティアード・スレイヴリー』の《マイ・シェリー・アモール》が好きです。

ヴォランティアード・スレイヴリー

ヴォランティアード・スレイヴリー

  • アーティスト: ローランド・カーク,チャールズ・マギー,ロン・バートン,ヴァーノン・マーティン,ソニー・ブラウン,ジミー・ホップス,チャールズ・クロスビー,ディック・グリフィン
  • 出版社/メーカー: Warner Music Japan =music=
  • 発売日: 2008/02/20
  • メディア: CD



もう1人が、ヒューバート・ローズ。

マッコイ・タイナーの『フライ・ウィズ・ザ・ウィンド』のタイトル曲で、自分のソロオーダーが回ってきたときに颯爽と登場する最初の数音た滅茶苦茶カッコいいのです。

暑苦しいマッコイのピアノプレイに、ストリングスという冷却要素をくわえつつも、やっぱりどこか暑苦しいアルバムですが(笑)、この映画音楽のようにワイルドなスケールと、ビリー・コブムのダイナミックなドラミング、そして、そこはかとなく漂うヤッツケ感と、ごくごく微量なインチキくささ(笑)の配合が絶妙なアルバム『フライ・ウィズ・ザ・ウィンド』。

んも~、大好きです。

最近はたまにしか聴かなくなってしまったけど、上野に「イトウ」というジャズ喫茶があった頃は、そこで友達とよくこのアルバムを聴いていました。

その友達がこのアルバム好きでね。アルトサックスやっていたんだけれども、ヒューバート・ローズのフルートにしびれて、フルートへの転向を真剣に考えていたほど。

また、ストリングス的な滑らかさがあまり感じられない「イトウ」の迫力第一の剛腕音響が、このアルバムのゴリゴリ感を倍増させていて、とても良かったなぁ(笑)。

本来の音とはかけ離れまくったサウンドなんだろうけど、このブリブリにブースターロケットを装着させたようなマッコイのピアノと、ビリー・コブハムのドラムは迫力満点でした。

ヒューバート・ローズのフルートも太くて逞しくて大迫力だったことを覚えています。

でも、家の小さなスピーカーで聴くと、もっとお上品な感じなんだけどね。でも、オーケストラ参加のお上品な感じに微妙に似合わないマッコイやビリー・コブはムが、なんというか、似合わないタキシードを無理やり着てめかしこんだスタローンや、シュワルツェネッガーみたいでイイのですよ(笑)。


フライ・ウィズ・ザ・ウインド

フライ・ウィズ・ザ・ウインド

  • アーティスト: マッコイ・タイナー,エドマンド・ウェインガート,カーミット・ムーア,ヒューバート・ロウズ,セルワート・クラーク,サリー・ケル,ポール・レンツィ,ダニエル・コビアルコ,ロン・カーター,フランク・フォスター,ダニエル・イェール
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2007/02/21
  • メディア: CD




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