官僚たちが夏だった頃、NYではミッドナイトだった

先週から始まった、『ぼくの妹』の後番組、
日曜・夜9時からTBSで放映されている『官僚たちの夏』。



城山三郎の原作は、親父に「コレ読め」言われて、たしか中学生ぐらいのときに読んだ記憶があるのですが、実際映像化されたものを改めて観ると、感激と感動もひとしおですね。

私はナマケモノなので、その反動なのか、頑張る熱い男を見ると、ウルウルと目がしらが熱くなってきてしまうのです。

日本の将来を思い、無私無欲で働きまくるエネルギッシュな通産官僚たちの姿には胸打たれるものがあります。

時代は、昭和30年からはじまり、
昨日の放映は31年でした。

西暦になおすと1956年。

1956年といやあ、モダンジャズの黄金期ではないですか。

マイルス・デイヴィスが《ラウンド・ミッドナイト》を吹きこんだり、プレスティッジでマラソンセッションをしたり、
ソニー・ロリンズが『サキソフォン・コロッサス』を吹きこみ、セロニアス・モンクが最高傑作と呼ばれる『ブリリアント・コーナーズ』を録音しています。

また、セシル・テイラーやビル・エヴァンスがデビューをしたり、クリフォード・ブラウンが事故死するなど、モダンジャズのひとつの頂点と同時に節目でもあり、新しい潮流が生まれ始めた年でもあります。

日本では、東京タワーの建築がはじまったばかり。
国内のほとんどの道はまだ舗装されていませんでした。

電気釜、洗濯機が普及しはじめ、
高価だった白黒テレビも、メーカーの努力で少しずつ値が下がり、一般家庭にも少しずつ普及しはじめます。

そんな時期に、ニューヨークでは、マイルスがコルトレーン、レッド・ガーランド、チェンバース、フィリージョーらと、あの傑作《ラウンド・ミッドナイト》を吹きこんでいるのだから、一瞬時代感覚が「あらら?」となってしまいます。



今聴いても新鮮なマイルスの《ラウンド・ミッドナイト》。
これって、じつは、50年以上前の古い音楽だったんだな~、と改めて。
古いけど、古びていないところがスゴい。

マイルスが哀切のミュートで《ラウンド・ミッドナイト》を咽び泣いていた頃、日本の通産省とメーカーでは、
「これからは電子計算機(コンピュータ)の時代が必ずやってきます!」
「まだ、テレビの時代もきていないのに、電子計算機の時代ですかぁ?」
というような会話が交わされていた。

その時代には生まれていない私なだけに、このギャップの凄さを感じてしまう。

当時の記録映像を見たり、『三丁目の夕日』や『官僚たちの夏』のような映画、ドラマを見た直後に、同時代のジャズを聴くと、ジャズって、じつはものすごく進んだ音楽だったんだとしみじみ思ってしまいます。

藤山一郎と奈良光枝の《青い山脈》が発売された昭和24年(1949)に、リー・コニッツとレニー・トリスターノが『サブコンシャス・リー』を吹きこんだというのがいまだ信じられない私ですから……。




当時のアメリカ人にとっても、彼らクール派の音楽は超々近代的なものに聴こえたのではないでしょうか……?

この記事へのコメント

  • tommy

    雲さん、こんにちは。

    そうですよね。日本現代史とジャズ史を重ねると、時間の流れがリアルに分りますね。
    オイラは割りと自分の年齢とリンクさせてジャズのアルバムを確認するタチなので、「へぇ~、マイルスのラウンド・ミッドナイトって、オイラが1才の時に録音されたんだ」と認識する訳です。
    やっぱり50年以上の時間にもたえられるアルバムが、こんなにもたくさんあるジャズってスゴイ音楽だと思う。
    100年も200年も聴かれるためには、そろそろジャズを一度終わらせた方がいいのかも知れませんね。
    その方がジャズという音楽が明確に残ると思ったりもします。
    2009年07月14日 15:07
  • やっち

    はじめまして! 官僚たちの夏いいですね。来週も楽しみです!
    2009年07月14日 15:13
  • ●tommyさん

    ジャズを終わらせるってどうやって終わらせるの??
    でも、時代とジャズの録音された年を照らしあわせると面白い発見がいろいろありますね。
    私がジャズ聴き始めたのって、90年代だからなおさらなんですよ。


    ●やっちさん

    はじめまして。
    いいですね。このドラマは最終回までチェックしようと思っています。
    2009年07月14日 23:32

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