放送第44回『ゲイリー・バートン特集』(3)

昨日は、同じヴァイブラフォンという楽器でも、
録音のポイントが違うだけで、

ホワ~ン!と柔らかく空間を漂うような音響になったり、
カツン!とマレットが板を叩くアタックの強い音になる

このような話を書きました。

昨日書いたことをフォローするようですが、
はたけやま裕さんの『ケオティック・プラネット』におけるヴァイブラフォンの録音が悪いというわけでは決してありません。



このアルバムのヴァイブの音色は、アタック感よりも、空間に漂う涼しげな金属音のような位置づけで録音されていますが、これはこれで一つの録音バランスの考え方だと思っています。

なぜかというと、大人数編成なうえに、必ずしもヴァイブラフォンが主役楽器としての位置づけのアルバムではないからです。

たくさんの楽器の音が飛び交う中、ヴァイブラフォンの音までもが強く録音されてしまうと、ひょっとしたら演奏のバランスが崩れてしまう可能性もあるからです。

だから、このアルバムの場合は、山﨑さんのヴァイブラフォンは少々目立たない位置づけになってしまっているのは残念ですが、全体のバランスからしてみると、これはこれで一つの正解なのだと思っています。

では、番組のアフターアワーズでの演奏はどうか?
これは、私のベースとのデュオです。
100%山﨑さんのヴァイブラフォンが主役の世界です。
なので、ヴァイブラフォンの音は立っていたほうがいいわけです。

なので、アタック感を優先させたtommyさんがセッティングが正解だと思います。

マイクの配置の仕方で、
「空間を包む音色」にもなり、
「アタックの強い音色」にもなるヴィブラフォン。

そういえば、ゲイリー・バートンの音色も、チック・コリアや小曽根真などのピアニストと共演しているときは、ピアノのアタック音に負けないぐらい粒立ちのハッキリとした音色でピアノと対等に渡り合っています。




しかし、私が好きなスタン・ゲッツのアルバム『ゲッツ・オウ・ゴー・ゴー』(Verve)では、ピアノもギターもいない編成の中、ゲイリー・バートンのヴァイブはコード楽器的な役割を担っているため、録音バランスは「空間を包む音色」になっていますね。

このグループの主役はまぎれもなく、リーダーのゲッツ、あるいはゲストのアストラッド・ジルベルトですから。



ま、ライブ録音なので、自然にそのようになってしまっただけなのかもしれませんが……。

アンサンブル全体の中において、特に複数の音を出せる楽器のアタック感についての考え方、特に「アタック感」に関しての考察は、じつは、次回のテーマ「マイルスはなぜエレクトリック化したのか?」にもつながります。

このへんのことは、ゲストの平野啓一郎さんが説得力のある解説をしてくれていますので、是非、オンエアをお聴き逃しなく!


※注
ミュージックバードJazz chでは、8月9日の午後10時からのオンエアですが、コミュニティFMでは、8月14日の午後8時からのオンエアとなります。
これは、今週末土曜日はサッカー中継を放送する局が多く、オンエアを1週先送りにしたためです。

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