いうなれば挑発的なピンクの薔薇

あふれ出るロマンティシズム。
全曲オリジナルで固めた、妹尾美里のファーストアルバム。

いうなれば挑発的なピンクの薔薇。
ほとばしる香気漂うピアノは、前へ前へと疾走してゆく。

優美さと常に湛えた1音1音の音符。
しかし、単に漂うのは甘い優美さのみならず、必ず「私を聴いてください。私を知ってください。願わくば魅入られてください」という強い主張が込められており、この意気込みが全体に漲っているためか、アルバム全編を通し聴きすると、クラリとした香水酔いにも近い倦怠感と軽い疲れを覚えることもある。

しかし、ファーストアルバムならではのこの気合いはなくてはならないもの。

フローラルの香りと微量のアルコールが、ほのかに溶け込んだようなピアノは、彼女が影響を受けたというペトルチアーニの硬質なピアノとは違う柔らかさを内包しており、これこそが彼女ならではの個性なのだろう。

ラストの可愛いらしい曲、《マロングラッセ》にほっと一息。



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