放送第34回『マイルス・デイヴィスのミュート・トランペット』(2)

今回の放送では、トランペットプレイヤーでもあるプリズム出版・齋藤實氏に、実際に様々なミュートの音を実演してもらいながら番組を収録してゆきました。

収録に立ち会ってくれたtommyさん(Jazz Cafe「スコット・ラファロ」のオーナー)が、齋藤さんご持参のミュートの写真を撮影し、ナンバリングまでしてくれましたので、掲載します。


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今回の放送を聞きながら、以下の写真と解説を読めば、より一層、ビジュアルと音で、ミュートトランペットの音色の違いと特性をご理解いただけることと思います。

(画像が小さく見えにくい場合は、画像をクリックすると大きく表示されます)

①ハーマンミュート
マイルス・デイヴィスのトレードマークとでもいうべき音色は、これのお陰です。
しかし、穴の中に内部管というものを取り付けると、シリアスなマイルスの世界から、一転してコミカルな吉本興業的、あるいは寸劇のトホホな場面の効果音になります(笑)。


②カップミュート
ハーマンミュートよりは柔らかい音になります。なんといっても『ウォーキン』のB面の3曲(ソーラー、ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ、ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー)の演奏が最高!


③プランジャー・ミュート
トイレ掃除に使う吸引機の先端のゴムの部分そのものですね(笑)。
これを左手で持ち、トランペットの先端をふさいだり、開いたりして、音に変化をつけます。
エレキギターのワウワウペダルに近い効果が出ます。
マイルスはこれを使いませんでしたが、『オン・ザ・コーナー』や『パンゲア』など、いわゆるエレクトリック期には、マイクが拾った音をワウワウペダルに直結させて(いわゆるエレキギターを同じ使い方)ムズムズとした空間を捩じるような効果を出しています。


④バケットミュート
スポンジが埋め込まれていることからもわかるとおり、トランペットのトレブリーな成分が吸収され、マイルドなニュアンスを出すミュートです。
メーカーによっては綿が埋め込まれているそうです。


⑤プラクティスミュート/練習用ミュート
これは文字通り練習用のミュートなので、その名のとおり消音機。消え入るように音が小さくなるので人前での演奏は使わない、あくまで練習用のミュートだそうです。


いかがでしたか?
一口に、トランペットのミュートといっても、いろいろな種類があるということが、今回は実際の音でご納得いただけたんじゃないかと思います。

楽器の特性を知れば、ミュージシャンの演奏意図をより深く理解することにもつながる。これすなわち、ジャズをよりいっそう楽しむ近道の一つでもあるのです。


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