アンティーブ・ジャズ・フェスティバル~「ヨーロッパのジャズフェス事情」


今回のゲストの藤岡靖洋さんが、ヨーロッパのジャズフェスティバルに魅せられたきっかけは、南仏で毎年催されるアンティーブ・ジャズ・フェスティバルがキッカケだそうです。

1960年に第一回が開催。

このときの記念すべき出演者が、ドルフィーを従えたミンガスのバンド。

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そう、『ミンガス・アット・アンティーブ』の演奏がまさに第一回目の演奏だったのです。



このアルバムは、私の大のお気に入りの1枚。
たぶん『タウンホール・コンサート』とならび、ミンガスのアルバムでは一番聴いているのではないかと思います。

なにしろメンバーが強力です。

エリック・ドルフィーに、テッド・カーソンのトランペット、ドラムがダニー・リッチモンド。

そう、『ミンガス・プレゼンツ・ミンガス』のメンツですね。



それにブッカー・アーヴィンのテナーが加わるという強力な布陣。

さらにバド・パウエルもスペシャル・ゲストで参加しています。
長尺演奏の《アイル・リメンバー・エイプリル》の演奏が、なんといっても素晴らしく、パウエルがピアノソロを弾き出したとたん、世界がパウエル色に完全に塗り替わるのです。

比較的長めのソロですが、まったく飽きることがない。
むしろ、耳が惹きつけられてしまい、ピアノの音のみに意識が集中。ソロが終わるまで、まったく耳を離してくれない不思議な磁力があります。

絶頂期の頃のように、周囲を圧倒するような超絶技巧はまったく見せないのですが、淡々と奏でられるピアノに、いつも不思議と説得されてしまうのです。

この《アイル・リメンバー・エイプリル》だけは、他の曲とは少し雰囲気が違う魅力を放っているのですが、それ以外の曲は、もう圧巻!というほかないですね。

《ウェンズデイ・ナイト・プレイヤー・ミーティング》のような炎を噴き出すかのような、猛烈な勢いのアンサンブルは、まさにミンガスの世界です。

こんな凄まじい演奏が、1960年の7月13日、南仏のノドカなリゾート地で繰り広げられていたのですね。

藤岡さんが番組中でも語っていましたが、ヨーロッパのジャズフェスの聴衆は、日本の「焼きそば・ホットドッグ・ビールでえいやー!」な鑑賞態度とは違い、きちんと音楽を鑑賞する姿勢がすあり、それが素晴らしいとのこと。

固唾を飲んで見守る聴衆を前にすれば、ミンガス一行も本気で演奏せざるを得なかったのでしょうね。
暑い季節の熱い演奏、『ミンガス・アット・アンティーブス』。

これはかなりオススメなアルバムですね。

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