放送第26回 MJQ特集 (3)


先日のMJQ特集の際に、『コンコルド』というアルバムの《朝日のように爽やかに》をかける前に、対位法の説明をし、バッハの音源をかけ、キーボードをディレクター嬢と手分けをして少し弾くなどの解説をしてみました。


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そうしたら、リスナーの方から、
「普段は聞き流していたジョン・ルイスのピアノに耳がいくようになった」
「ピアノはヴァイブの後ろで和音を弾いているものとばかり思っていたが、じつは旋律を奏でていたのですね」
という嬉しいお声を頂戴しました。

ちょっとした予備知識で、これまで慣れ親しんでいた音楽が、違う表情で自分の前に立ち現れる体験。これこそがジャズ鑑賞の醍醐味のひとつでもあります。

中学正や高校生の時。数学で図形の問題を解く際に、たった1本の線を引いただけで、いままでチンプンカンプンだった解法の手がかりがつかめることってありますよね?

いわゆる「補助線」というやつですが、この補助線の出現で、いままで認識していた図形が違う形に見えたり、新たな気づきや発見が出てきます。

これと同様、音楽をかける前に言われた「たった一言」の言葉のガイドで、聴こえ方が変わってきた、鑑賞が深まったという体験はどなたにでもあることと思います。

私が皆さんにジャズを紹介するスタンスも「補助線」のような役割でありたいと思っています。

珍しい盤の紹介、
新譜をいちはやく紹介、
歴史的な位置づけの中からの紹介、
リスナー代表となりミュージシャンに苦言と呈する役どころ……。

これらの切り口は、すでに素晴らしい評論家がいっぱいいらっしゃるので(たぶん)、おそらくこのへんは、私の立ち位置ではないと思います。


それよりも、聴き慣れた盤に新しい風を吹き込むこと、これこそが私のポジションなのだろうなと、先日、1000号を越えたメルマガのバックナンバーをランダムにつらつらと読みながら、そう思った(笑)。


もちろん、毎回このような「鑑賞の補助線」を皆さんに提供できるかどうかは分かりませんが、極力、ふだん聞き慣れている曲でも、聴こえ方が変わってきた、新鮮に聴こえたといわれる解説を心がけてゆきたいと思っています。




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