ガット弦!

昨日の続きで、弦のお話をしたいと思います。

ガット弦についてもう少し書きくわえると、ガット弦が張られたtommyさんのベースを弾いた上での感想ですが、チューニングがスチール製の弦と比較すると狂いやすいという印象がありました。

元はといえば動物の内臓から作られていることもあり、温度や湿度に敏感で日によって弦のコンディションが左右されやすいのでしょう。

また、ガット弦を張られていた時代のベースと、現在のベースとでは、ネックの仕込み角度が微妙に違うこともあげられます。

これは弦のテンション(引っ張る強さ)の違いから生じるもので、池田先生のチロリアンベースのように古いベースは、金属製の弦に対応するようにネックの仕込み角度が調整されているはずです。

またガット弦の特徴として、弦が太く振動の幅が大きいということが挙げられます。

これは何を意味するかというと、弦高が低いと、振動した弦が指板にブルルルルン!と当たってしまい、ビヨ~ンという音が出てしまう。

つまり、震えた弦が指板にぶつからないように、弦の高さを高めにセッティングしてあげないといけないということです。

弦高を高くすればするほど、ネックを握る左手の握力や、高めの弦をはじく指の強さが求められ、要するに体力が必要ということです。

ポール・チェンバース、チャールズ・ミンガス、オスカー・ペティフォードら昔のベーシスト。彼らの音の音色は、太くて強靭なアタックを感じます。
彼らは皆、ガット弦を使用していましたが、私はガット弦を実際に弾いてみて、とてもそんな音は出せないことを痛感し、なおかつ昔のベーシスト(ガット弦がまだ主流だった50年代半ばまでのベーシスト)は、みな演奏技術のみならず並はずれた体力があったのだなということを実感しました。

扱うにも、弾くことも厄介なガット弦ではありますが、それでもやはりダークで深みのある音色には、抗いがたい魅力があることも確か。

現在のベーシストでもガット弦の愛用者は少なくありません。

また、ガット弦と金属性の弦を組み合わせて使用しているベーシストもいます。この組み合わせをドラマーに引っかけて、スティール・ガットと言います(嘘です、いいません)。

それだけ、ガット弦にはいくつかの欠点を補ってあまりある魅力があるということなのでしょう。

昔のジャズと最近のジャズの大きな違いの一つに、ウッドベースの音色があげられると思います。
弦も違えば、録音方法も違う。
特に70年代以降になると、ロン・カーターのようにアンプでウッドベースの音を増幅して引くウッドベースプレイヤーも出てくる。
そうすると、エレクトリックベースのフレットレスに音色が近くなってきます。

逆にウイントン・マルサリス登場以降の80年代のベースは、ウイントンの演奏するジャズの保守化というか先祖がえりもあり、ウッドべースの音をアンプで増幅するのをやめ、オンマイクで自然な響きを拾うベーシストも増えてきます。
ウイントンのバンドにいたロバート・ハーストが良い例ですね。

弦の振動をピックアップしてアンプで増幅した音と、ウッドベースの本体から発せられる暖かな空気を包むような音色はまったく違う音色といっても良いでしょう。

ピックアップ経由の低音は、音の輪郭はしっかりしているものの、ふくよかさが足りない。
マイクで拾った胴の音は、温かな空気感をキャッチできるものの、狭いステージなどでは大音量でモニターをするとハウリングを起こしてしまう。

なので両者の利点を採用して、ラインとマイクの両方の音色を拾い、ミックスしているベーシストもいます。

とにかく、ベースひとつとっても、録音方法や増幅方法はミュージシャンの考え方、音楽観によってまったく違ってきます。

ロン・カーターの最近の録音と、チャールズ・ミンガスの一連の録音など聴き比べれば、本当に両方とも同じベースという楽器から発せられる音なのか?!と驚くかもしれません。

それほど、音色、質感、アタック感、サスティンがまったく違うのです。

もし、50年代以前のジャズと、最近録音のジャズのCDをお持ちの方は、できればベース中心に聴き比べてみましょう。

色々な発見があって楽しいと思いますよ。

▼本編とはまったく関係ないけど、マリオン・ブラウン(笑)。




この記事へのコメント

  • tommy

    雲さん、お疲れさま。
    残念!本日はビリー・ハーパーでした。ついでにJBSで「ビリー・ハーパー特集」をやって貰いました(笑)。
    自分で研究してから「マルカムの要塞」に行くと、すごくいいですね。
    「チクショー!こう来たか!」と思うのですが納得します(笑)。
    2009年02月27日 02:32
  • tommyさん マルカムとの無言の交感は楽しいものがありますよね。

    「チクショー!こう来たか!」
    「ニヤッ!」(マルカム)

    これこそが、ジャズ喫茶の醍醐味のひとつでもあります。
    「やられた!」と思う楽しさもありますが、かける側の楽しみのほうが、きっと大きいと思いますよ。
    2009年02月28日 22:19

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