放送第12回 「ジャズバッハ」(2) ゲスト:松本茜さん

さて、本日は午後10時よりPCM放送ミュージックバードで放送される「快楽ジャズ通信」についてです。

かけた曲は先日の記事を参照していただくことにして、
番組冒頭で私がしゃべっている背後のBGで流した音源の解説です。

最初は、教則本の付属CDより。
ジャスキン・デプレスというフランスのベース奏者の教則本ですが、
私はこれでベースの運指の練習をしたものです。

J.S.バッハ フォーベース

¥2,940
Amazon.co.jp

付属CDには譜面のデモ演奏が掲載されていて、 これに合わせて弾くと非常に練習になる。
流したのは、《前奏曲とフーガ第一番ハ長調》です。

教則本の演奏なだけあって、非常に無味乾燥です。
まあ当たり前だけど。

この教則本や、無伴奏チェロの譜面を見るかぎりだと、
バッハの音符の並びは、非常に整然としていて図形的。

だから、そのとおりに演奏しても、 やっぱり無味乾燥的な図形的な音になってしまいます。

この図形的な無味乾燥なオタマジャクシの羅列に命を吹き込むのが演奏者の宿命。
だからこそ、バッハの演奏に命を吹き込む演奏者に実際にお話をおうかがいしたかったのですね。

この教則本の演奏は、まだ音符が音に置き換えられた段階。
つまり、まだ音楽になる前の記号のようなものだと私は感じています。

次にバックで流れたのは、グレン・グールドの『平均律クラヴィーア曲集第一巻』。

バッハ : 平均律クラヴィーア曲集 第1巻/グールド(グレン)


¥4,298
Amazon.co.jp

比較の意味で、ジャズキン・デ・プレの教則本と同じく《前奏曲とフーガ第一番ハ長調》です。
教則本の模範演奏に比べると、音符が一音一音呼吸しているのが分かります。

さらに、流れるようなスピード感が付加されたジョン・ルイスの同曲もバックで流しました。

プレリュードとフーガ Vol.1/ジョン・ルイス


¥1,116
Amazon.co.jp

本当は、同じ曲で、ラテンタッチのオイゲン・キケロのバージョンもかけたかったのですが、さすがに時間もない上に、キケロは本編で流すのでやめました。

この3つの演奏を聴き比べることによって、同じ音符でも、演奏者によって、本当にまったく違う演奏になってしまうことをまずは耳で実感してもらいたかったのです。

もっともバックのボリュームはちょっと低めなようだから、分からないかもしれないけど。

たとえば、ジャズのスタンダードの《枯葉》を演奏しようとすると、テンポ設定も自由だし、音符だって和音だって自由に付け加えたり変えたりすることができます。

悪く言えば、自分の実力に応じた弾き方をすれば、
それなりにカタチになってしまうのがジャズのいいところ。

しかし、クラシックは譜面の音符から逸脱することは許されません。

同じ音符を弾くだけでも、演奏者によってこれほどまでに解釈もニュアンスも違うのだということに驚き、かつ楽しむこともクラシック鑑賞の楽しみではあります。

……そして、ジャズマンがそんなクラシックのバッハを演奏すると???

というのが今回の番組の趣旨でした。

松本茜さんは、ものすごくバッハに思い入れがあるというわけではなさそうでしたが、それでも、一生懸命自分の思いやかかった曲の感想をお話してくれました。

ミュージックバードの会員だけが聴くことができるアフターアワーズ編では、
ファンにはたまらない(?)サービス音源(?)もつけた編集をディレクター嬢がしてくれているので、
お楽しみに~。