
トルコ人ピアニストのファジル・サイ。
最初に知ったのは、ストラヴィンスキーの《春の祭典》をピアノの多重録音でやっているアルバムを聴き、面白いピアニストだなぁと思ったのがキッカケ。
プリペアードピアノまでを動員して音が重ねられたあの《春の祭典》が、独特なフレバーで蘇っていて、この人の自由な発想には驚いたものです。ファジル・サイ/ストラヴィンスキー:春の祭典(ピアノ版)
これをキッカケに彼に興味を持ち、バッハを聴いてみると、なんとまた! 一言でいうと、奔放!
音の一音一音が自由に息をしているんですね。
一発で虜になってしまい、以来愛聴しているんですが、この人のバッハは気持ちよくグルーヴしているんです。
もちろん、ウェス・モンゴメリーのようなジャズ的黒いグルーヴの感覚とは違います。
強いていえば、昔のキース・ジャレットのスタンダーズを聴いているような感じ?
とめどももなく指からだけではなく、体全体からメロディがあふれ出るような気持ちよさ。
音を「弾く」というよりは、「放射される」というニュアンスがピッタリの「あふれ出るピアノ」。
これはヘタなジャズよりもよっぽどグルーヴしてるよ、ってことで紹介させてもらいました。
たまにはジャズ以外の音楽にも触手を伸ばしてみようと思っている方は、ぜひお聴きになってください。