放送第13回 「年間ベスト発表」(1)

本日、コミュニティFMで放送される「高野 雲の快楽ジャズ通信~What Is This Thing Called Jazz?」の特集は、「2008年年間ベスト」です。

タワーレコード渋谷店のジャズバイヤー・吉村健(たけし)さんをお招きしています。

せっかくタワーレコード・渋谷店という、若者が多く集まる地域・お店の方をお招きしているので、年間ベストといっても、今年トータルで売れたCDのベスト発表は、最初からまーったく考えていなくて(笑)、渋谷店店頭の現場の担当が実感した「今年発売の今年らしいアルバム」からの選曲をお願いしています。

本日は、おかけしたCDと曲をさらっと紹介してゆきます。

ハイ・ファイヴの『ファイヴ・フォー・ワン』から《オホス・ロホ》。

ハイ・ファイヴ/ファイヴ・フォー・ファン

ライヴにも足を運び、メンバーとお話もしたという吉村さんの個人的思い入れもはいってはいますが、たしかにこのアルバムは長らく5Fジャズコーナーの試聴機に備えつけてあったCDだったと記憶しています。

タワーレコード渋谷店は、非常に床面積の広いお店ゆえ、いたるところに試聴機がセットされています。

吉村さんは以前、
「店がいくらプッシュしても、良い悪いを判定するのは店頭で試聴するお客様の耳。結局よいジャズしか売れない」と仰っていました。

そして、自分の耳で判断した結果、『ハイ・ファイヴ』のような生きの良いジャズをセレクトして買ってゆかれるわけです。

そういえば、以前、『寺島靖国のPCMジャズ喫茶』にお邪魔したときにも、このCDが話題になり、「どうよ~、今の若者はこういうジャズ聴いてんだよ、うれしいねぇ~」と嬉しそうに寺島さんが仰っていたことを思い出しました。
若者からお年寄りまで(失礼!)を虜にしている『ハイ・ファイヴ』でした(笑)。

お次は、ピアニスト・熊谷ヤスマサの『アイ・ニード・ア・チェンジ,トゥ』より《HFCC》。





バークリー出身のピアニストで、上原ひろみ(p)と同期の方だとか。
前へ前へと突進する上原ひろみのピアノとは対照的に、横へ横へと拡散する心地よさを感じさせるピアノトリオです。

店でもプッシュしていたCDでもあり、実際好評だったとのこと。

バークリーの話題が出たところで、お次は、史上最年少でバークリーの先生になったという方のアルバム。
ベーシスト&ヴォーカルのエスペランサです。

このアルバムからは、ミルトン・ナシメントとウェイン・ショーターの『ネイティヴ・ダンサー』の冒頭を飾る有名曲《ポンタ・デ・アレイア》をセレクト。


エスペランサ

実際ライブでは彼女はウッドベースを弾きながら歌っているのだそうですが、ベースのプレイが云々というよりは、アレンジと歌声の心地よさに酔えるナンバーでした。

私は、仕事場には『ネイティヴ・ダンサー』を常備しているほどで、非常に聴く頻度高く大好きなアルバムなのですが、それに勝るとも劣らないみずみずしさにあふれたサウンドでした。

ヴォーカルをもう一人ということで、メロディ・ガルドーの『ウォリ・サム・ハート』からタイトル曲をかけました。
19歳のときに交通事故で目を負傷、音楽セラピーで作曲を勧められて曲作りを始め、書きためた曲がこの1枚に結実したとのこと。


メロディ・ガルドー/夜と朝の間で

気だるいトラックをセレクトしていただきましたが、実際はすべての曲がこのようなテイストではなく、ノラ・ジョーンズのファーストを感じさせる曲調・アレンジのナンバーもあり、どの曲を最初に聴くかで、この人のイメージがだいぶ変わるかもしれません。

実際、渋谷店店頭では、ノラ・ジョーンズを引き合いに出して店頭では販促をしていたとのこと。

まるで《サマー・タイム》を思わせる曲調の1曲目・《ウォリサム・ハート》がこのアルバムのジャケットイメージには近いのではないかな?と個人的には思いますが。

お次は渋谷らしいアルバムです。

ヒップ・ホップ系のジャズということで、DJカムの『リヴァース・オブ・クール』よりタイトル曲。




収録前の打ち合わせのときに何曲か聴かせていただいたのですが、もう最初の4小節でタイトル曲に決まり!

個人的趣味丸出しで申し訳ありませんが、椎名林檎の《丸の内》を感じたので(笑)。
もちろん、アレンジやテイストはまるで異なるのですが、はじめて林檎ちゃんの《丸の内》を聴いたときに私は、「こういうラフな演奏もありだけど、もう少しすっきりと音を整理してオシャレなアレンジでやるのもありだよね」と思ったものです。

そのときに漠然と感じたアレンジ、音の雰囲気がまさにコレだったんで(笑)。

もっとも《丸の内》を感じたのは最初の数秒で、あとは、おしゃれ路線なヒップホップです。
(正確にはジャジー・ヒップ・ホップと呼ばれているようで、店頭でもそう呼んでいるそうです)

さて、本当はこの何倍もの枚数のCDを持ってきていただいてはいたのですが、最後の1枚は、私が選びました。
マーク・アイザの『オファリング』よりタイトル曲を選びました。

このアルバムのベストトラックは個人的には「2」と「4」だと信じて疑わない私ではありますが、DJカムの話題につながる音は、やはり今風テイストのDJ&ヒップホップ的要素の強いタイトル曲なのでこれを選ばせてもらいました。




というけで、駆け足紹介おしまい!
つづきはまた明日以降にします!