放送第17回『マイルスが愛したピアニストたち』(2)~グレース語録

アキコ・グレースさんがゲストの放送17回目は、お互いかなり突っ込んだ話をした記憶があります。

彼女から教えられることも多く、今回は、アキコ・グレースさんが番組中に話された中でも、個人的に印象に残った言葉を書いてみます。

【アキコ・グレース語録】ですね(笑)。

ピアノとエレピの違いは、まずアクションが違います。
エレピでないと出せないフレーズは結構ありますね。
あと、倍音が鳴るか鳴らないか。
じつは、同じアコースティックでも調律師の腕によってどのくらい倍音が鳴るかというのは、違いますね。



(留学して)ボストンに着いて初めて購入したCDがマイルスの『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』。ハンコックの独特のハーモニー感が好きです。
(2枚組の『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』と仰っていたので、『フォア・アンド・モア』とセットの2枚組だと思います)


(ハンコックと、チック・コリアと、キース・ジャレットの3人を御三家というんですが、どなたが一番好きか?という質問に対して、)
そうですね、私の場合は……、やっぱりエヴァンスかな?
(後ほど、天然ボケだったことが判明・笑)


(白人のエヴァンスをメンバーに加えて《ブルー・イン・グリーン》のようなスタティック路線も加えたことに対して)
マイルスは思い切って舵を取っていったって感じですね。


バンドリーダーというのは、音楽を牽引していくのが大事だと思いますよね。自分のプレイだけじゃなくて。バンド全体のサウンドをどう引っ張ってゆくのかが。
だから、マイルスのハンコックに対して「バターコードを弾くな」と言った謎かけはうまいなぁと思いますよね。


(私がポリーニのシューマンが好きだという話に対して)
ポリーニは私の母が好きで、小さいころよく家でかかっていたんですよね。ショパンのエチュードとか。
母はクラシックの教育者だったこともあり、お手本にしにくいものは別な棚に隠していたんですね。
ミケランジェリやグレン・グールドはもっと大きくなってからね、って。

(ミケランジェリは、私、ドビュッシーしか聴いたことがないんですが、今回アキコ・グレースさんに紹介されたシューマンの作品は非常に響きました。)


(アキコ・グレースはジャズピアニストではない。ピアニストである。スタンダードやバップなど“ジャズの因習”にとらわれる必要はないんじゃないか、独自の世界感を持っているピアニストなんだから、無理にジャズという語法にのっとってピアノを弾く必要がない。己の道を歩めばいいのに。……と思っていたところに『グレースフル・ヴィジョン』や『ピアノリウム』が登場した! この2枚のアルバムは、自由に自分の世界を展開していてストーリーがある。もちろん重たい曲もあるけれども、それだけ表現が深いんだ、というような私の長い長い語りを聞いて)
本当にうれしいです。本当に音楽が好き、「音」が好きな方なんだなと感じました。
雲さんのその感じ方が、私が表現したいものをすごく直感的に掴んでいるんだなと思いました。
あるジャンルを深く知ることはすごく大事なことだと思っていたので、まずはクラシックをやり、ジャズの世界にはいっていったわけですけど、なんのために知識やテクニクを身につけていたのかというと、最終的に大事にしたい世界を育ててゆくために必要な栄養をもらうためなんです。
でも、それを途中で忘れてしまうこともあって……。
だって、ある1つのジャンルの中にいるのは安心じゃないですか? 安心だけれども、ひとつのジャンルの中で終わりたくないという気持ちもあります。それを正直に音楽で表現してゆくのは、私の目標でありライフワークでもあるので、それをわかってくれるのは嬉しいし、この先も間違いなくその路線で進んでゆこうかなと思います。



マイルスの言っている言葉もすごくわかる。「そうだよね」と頷ける言葉が多いです。
特に好きな言葉は「Don't fear mistakes.There're none./間違いを恐れるな、そんなものは存在しないんだから」。
音の中で間違いなんてないんだよ。そういう挑戦の中から、探究や新しさにつながっているんだなと思いました。

『ビッチェズ・ブリュー』の感想を開口一番、「すっごく自由ですよね」と応えたグレースさんならではの言葉ですね。


私が好きなあるコード、サスフォー・フラットナインがあるんですけど、(じゃらりーん とキーボードを弾く)フリジアンやロクリアンのスケールの構成音の中の5音だけを使うんですよ。

Gのスケールでいうと、
G・A♭・C・D・Fが構成音です。

Gのsus4という音にフラットナインを入れるだけで音が変わるんですね。

さらにこの中にBの音をいれると、また雰囲気が変わるんですよね。
これを入れないとピュアな「和」の感じがします。

音階は必ず7つ弾かなくてはいけないというわけではなくて、「抜いてゆく」という面白さもあります。

あと私が好きなコードは、3音抜きのハイブリッドコードですね。

(車みたいですね、という私の相槌に苦笑しながら)
ハイブリッドコードは、メジャーかマイナーかが分からないコード。
コードの明暗・キャラクターを決める第三音を抜くことで、長調か短調かわからない世界が浮かび上がるんですね。

※たとえば、CとCmで説明すると、Cは構成音がドミソで、Cmは構成音がドミ♭ソですよね? 三番目の音、つまりミかミ♭で、響きの明暗が決定されます。グレースさんは、あえてこの三番目の音を抜き、長調・短調のどちらにも機能する(ハイブリッド)コードがお好きなのだそうです。

以上、本当はもっともっといろいろと印象に残る言葉をいただいたのですが、そろそろ力尽きようとしている私。

毎週毎週、番組のおいしいところ、私やゲストさんの会話をブログにアップされているいっきさんの苦労が、よ~く分かりました!

偉大なるいっきさんに敬礼!(笑)

もちろん、ズケズケと言いたい放題だった私に、興味深い話をたくさん本気返ししてくれたアキコ・グレースさんにも敬礼!(笑)

オマケに、「アキコ先生のピアノ教室~♪」とアニメ声でオープニングを飾ってくれたディレクター嬢には乾杯! ……じゃなくて、完敗。
もっと主張のある声づくりに励みます(涙)。

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