寺島靖国氏は言った。「この文章、誰かに似ているねぇ」

もうちょい、「PCMジャズ喫茶ネタ」で引っ張ります(笑)。

今回は、オンエアされない場面での会話の一部を公開しよう。

先日、秋葉原で行われた「PCMジャズ喫茶」の公開収録の際、私が携わった本『知識ゼロからのジャズ入門』を寺島さんに差し上げたのだが、
寺島さん、ちゃんと読んでくださっていた。

番組収録前の簡単な打ち合わせの際、この本を手に取った寺島さんは、
パラパラと本をめくりながら、

「読んだけど、この文章は誰かに似てるねぇ」

と仰った。

「ええ、似てますよ。それは寺島さんです!」

すかさず私が答えると、寺島さんは意外そうな顔をされた。

私は続けた。

「ボク、寺島さんの本はほとんど読んでるんですよ。もちろん、連載中のエッセイまでは追いかけきれてませんが。だから、寺島ファンとしては、“これは面白い!”と思った寺島流表現はよく覚えているんですよ。たとえば、『辛口ジャズノート』に書かれた“すべからくジャズメンはダンディであるべし。”というフレーズが大好きで、今回は、パクらせてもらっちゃいましたよ(笑)。いや、もちろん書いたあとに気付いたんですが。ほら、パーカーのところに“すべからくモダン・ジャズはチャーリー・パーカーを基準に考えれば良い。”って文章あったと思うんですが、その文章書いているときは、無意識に寺島さんの言葉が頭の中にあったに違いないんです」

というようなことを寺島さんに話したら、寺島さんは、「へー、そうかい」と意外な顔をされ、

「でも、違うんだなぁ、ほら、いるじゃない? 君にそっくりな文章書く人。ほら、ほら、ほら、ほら、ほら……」

と、トントンと本の表紙を叩く。

「ひょっとして「いーぐる」の後藤さん?」

「そう!! 君の書き方、後藤さんの文章とウリ二つだよ」

というご指摘。

うん、そうかもしれない。

なにせ後藤さんの本に感銘を受けて、店でバイトしてましたから(笑)。

私は言う。

「そりゃまぁ、寺島さんとともに、後藤さんの著作も、オレ、全部読んでますから。それに、ジャズレビューを趣味で書き始めたころは、完全に私のアイドルは後藤さん、寺島さん、中山さんの3人でしたから」

「それに、このミュージシャン紹介欄のところですが、原稿用紙1枚にも満たない文字量で、ジャズマンの音や表現の特徴と、オススメアルバム2枚の解説をかかなければならなかったんですよ。だから、文章を長めに書いて、削りに削りに削った結果が、このような詰まった文体になってしまったんですね。でも、スリムな文章を書こうと念頭に置いていたので、むしろ、念頭に置いたのは中山康樹さんだったかもしれません。なにせ、文字量がホント少なかったんで、削りまくりの連続でしたよ、ホント」

すると寺島さんが、

「はっはぁ、面白いなぁ。文章削ると、後藤さんのような文章になる!?」

と突っ込んでくる。
いや、削ったから似るってもんでもないんだけどね(汗)。

寺島さんが、後藤さんに似ていると感じた部分は、きっと文体云々よりも、文章から匂う“ジャズ観”のほうだと思う。

さらに、正蔵氏と私がセレクトしたジャズマンの人選や、お勧のアルバムも、自分よりも、後藤さんに近いものをもしかしたら感じたのかもしれない。

それが証拠に、長澤さんと一緒にページをめくりながら、
「あなたたちも若いんだからさぁ、こういう年寄りが聴くような化石なジャズマンばかり取り上げないで、もっと若い今のジャズマンを取り上げればいいのに」
と嘆かわしそうな声を出しつつ、
「このジャズマンの人選したの誰?」
と訊いてきた。

「編集者がセレクトしたジャズマンを、正蔵師匠と私で絞り込みました」

と答えると、うーん、でも、みんな化石だよね、化石、とご納得のいかないご様子。

そこに岩浪さんが、
「でも、これはタイトルにもあるように入門者のための本でしょ?」
とフォローを入れてくれた。

やっぱり、ジャズを知りたい人は、このあたりから入るのがいいんじゃないの? とありがたいお言葉。

『新しいジャズを聴け!』という本も出版しているぐらいだから、寺島さんの新しジャズ好きは先刻承知だが、それにしても、寺島さんの新しいジャズ好きの反動(?)からくる古いもの嫌いは、かなり徹底しているなーと思った次第。

長澤さんか岩浪さんか忘れてしまったんだけれども、どちらかの方が鋭い指摘をした。

寺島さんがことさら「新しいジャズを聴け!」を連発する気持ちの裏には、「自分は新しいジャズを聴いているんだぞ、若いものにはまだまだ負けないぞ、俺だってまだ若いんだぞ!」という強がりの気持ちがあるのではないか? と。

「うん、それはあるね」

とアッサリ認める寺島さん。
ここで、ヘンにムキならないところが寺島さんの素敵なところ。

言ってることはワガママおじさんかもしれないけれども、もっともだと思った指摘は素直に認めてしまうところが、

じつは寺島さんのファンが多い理由の一つなのではないかと感じた次第。

そして、思ったことを単刀直入にぶつけてくる快活さも私は好きだ。

と書くと、

もしかしたら、寺島さんに気を遣って、思ってもいないことを書いてるんじゃないの?と訝る方もいらっしゃるかもしれないが、そんなことありません(笑)。

たまには、そういう自分と正反対の価値観を持った人と腹を割って考えをぶつけ合うのも楽しいものです。

だから、私の「また出演したいなぁ」の気持ちはそのあたりから発しているのだと思う。

もちろん、寺島さん、また呼んでくれるかどうかは分からないけど(笑)。

でも、

「あいつは面白いやっちゃ、また番組に呼んで正反対なジャズ感をぶつけ合えば、刺激のあるイイ番組ができるだろう」

という気持ちがあれば、呼んでくれると思うんだけども……、もう無理か(笑)?

今度、「メグ」に会いに行こっと。

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