フィニアスを代表する1枚

ここ1週間、大好きなバド・パウエルを封印し、フィニアス・ニューボーンJr.ばかりを聴いている。

ここで得た結論。

パウエルも天才だが、フィニアスもまぎれもなく天才だ。

タイプはまったく違うが、フィニアスの才気走ったピアノは、この天才っぷりを上手にコントロールしないと、本人ですらも制御不能で、時としてとんでもない方向にいってしまう。

この“ピアノ力(りょく)”は諸刃の剣とでもいえばいいのか、良い方向に作用した場合は、とてつもない高みへと上り詰めるが、悪い方向に作用した場合は、すごいピアノなことには変わりないのだが、鼻につくトゥ・マッチな表現に陥ってしまいがち。

もちろんフィニアスのアルバムには駄作はないと感じている私だが、それでも、毎日聴きたくなるものと、「しばらく聴かないでもいいや」となってしまうアルバムの2種類に大別される。

毎日聴きたくなるものの筆頭は、やはり『ワールド・オブ・ピアノ』だろう。


world of piano.png


文句なしの傑作で、彼の代表作に推したい。

これは、コンテンポラリーというレーベルに吹き込まれた作品だが、彼の天才的素質が見事に良い方向に開花した作品だと言える。
いや、開花するよう周到にプロダクトされた作品というべきか。

コンテンポラリーの社長、レスター・ケーニッヒのプロデュースの賜物ともいえる。
彼はうまい具合にフィニアスをコントロールし、フィニアスの持ち味を生かしつつ、聴きごたえのあるメリハリのあるアルバムに落とし込むことに成功している。

選曲からアレンジまでケーニッヒは心を砕いたというから、このアルバム作りにかけた意気込みは相当のもの。

勝手に「今週一週間はフィニアス週間」を設けている私にとって、毎日いの一番に手の伸びるフィニアスのアルバムは、コレなんだよね。

どれもがいい曲、素晴らしい演奏ばかり。
このアルバムを学生のときに買ったときは、圧倒的な《オレオ》や《ダフード》の演奏に耳を奪われていたが、最近では、《ジューシー・ルーシー》のようなリラックスナンバーや、3拍子の哀愁漂う《フォー・カール》がお気に入りだ。

特に、《フォー・カール》は……、うーん、なんて素敵な曲なんだろう。

パキパキと猛然とピアノとともに時速280キロ以上で飛ばしまくるフィニアスのピアノの勢いも、この演奏では良い具合にセーブがかかり、非常に良い按配。

こういうテイストの演奏をもっと残して欲しかった。

私が好きなフィニアスの演奏は、ロイ・ヘインズがリーダーの『ウィ・スリー』に収録されている《リフレクションズ》だが(これも若干落ち着いたたたずまい)、

《フォー・カール》からにじみ出る一抹の侘しさも、これまた才気ばしった天才ピアニストの違う側面を覗き見るようで興味深い。

飽きがこないように、なるべく1日に聴く回数をセーブはしているのだが、
今日は6回聴いちゃった……(-。-;)




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