放送第4回 ビリー・ホリデイ

本日、午後8時よりFM52局にて放送される
第4回目の「高野 雲の快楽ジャズ通信~What Is This Thing Called Jazz?」の特集は、ビリー・ホリデイです。

ミュージックバードは、明日の午後10時より放送されます。

今回はゲストに、Kスタイルのアート・ディレクター金田有記さんをお招きしました。

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photo:tommy

ビリー・ホリデイを特集するにあたって、まず一番懸念されたことが、「聴かず嫌いの人が多いのではないか?」ということ。

実際、私自身、今でこそ、ビリー・ホリデイは、私のジャズ生活にはなくてはならないかけがえのない歌手の1人ですが、そうなるまでには、かなりの年月を要しました。

私の周囲のジャズファンも、
「ビリー? 2~3枚ぐらいなら持っているよ」
という人は多いですが、
「2~3枚持っている」の次につながる言葉がないの(笑)。

持ってるのは分かったけど、好きなのか嫌いなのかという言葉が出てこない。

出てこないということは、
好きでも嫌いでもない。
好き・嫌い以前のレベル。
要は関心ないということなのでしょうね(涙)。

また、ビリーには暗いイメージがつきまとっていることも否めません。

リンチで殺された黒人の死体がまるで奇妙な果実のように木から吊下げられているという陰惨な光景を淡々と歌った《奇妙な果実》。

これ、たしかに彼女の代表曲なことには間違いないし、名唱であることには間違いありませんが、普通の人は、これだけで引いてしまいますよね。

実際、この番組の担当ディレクター嬢も、放送の仕事でビリー関係の番組にはいくつか携わってきたので、ビリーの歌は聴いたことはあるが、知っている歌は、《奇妙な果実》ただ1曲のみだというから、ビリーのイメージはイコール《奇妙な果実》とインプットされている人が案外多いのかもしれない。

さらに、十代前半での売春体験、麻薬中毒、ダメ男にばかり惚れてしまうダメンズウォーカーっぷり、逮捕、刑務所暮らし……などなど、彼女の自伝『奇妙な果実』から受けるネガティブな印象も聴かず嫌いを増やしている要因なのかもしれない。


奇妙な果実

もっとも、最近出版された中川ヨウ著の『ジャズに生きた女たち』を読むと、少しビリーに対して抱いていた認識が変わります。



伝記に記されていることの多くは、ビリー自身が、センセーショナルな売り出しをはかるために、ライターには現実よりもかなり誇張した記述をさせたようです。

ま、最近研究で、このような事実が明るみに出てはいても、人間、最初に抱いた印象を払拭するのはなかなか難しい。
だからこそ、今回の放送での私のテーマは、多くの人が抱くであろうビリーに対してのネガティブなイメージを「音で払拭する!」ことでした。

そうなると、ゲストには熱烈なビリーマニアを招くしかない。

しかも、研究家タイプの人よりは、一言話すだけで、「ああ、この人、心の底から本当にビリーのことが好きで好きでたまらないんだな」という空気を醸し出せる「いちファン」を呼んで、語らせたほうが説得力がある。

だとすると、
「呼ぶのは、もう金田さんしかいない!」
と思ったわけです。

金田さんは、Kスタイルというデザイン事務所の社長兼アートディレクター。
Kスタイルさんの最近の仕事は、映画『ガリレオ』のポスターなどのアートワーク、書籍関係だと、少し前の岩波から出た新版「広辞苑」の販促関係のグッズ、印刷物一式を担当しています。

彼とは、かれこれ5~6年前、ある仕事を通じて知り合いました。

仕事っぷりは、とにかく早く正確、しかもセンス抜群。
いつもこちらを驚かせ、最終的には喜ばせてくれます。

金田さんは、寡黙で渋く、カッコ良い人です(笑)。

とりあえず、カラオケではオリジナルラブがうまい(笑)。
というか、オリジナルよりも渋いかもしれない。

そうそう、金田さんの渋い声も、
今回の放送のキモですね(笑)。

金田さんと私には共通点があります。

・ジャズが好きだということ
・息子の年齢が一緒だということ
・ウルトラマン、円谷系の特撮が大好きだということ

これだけ共通点があれば、もう意気投合するのも時間の問題です。

話しこむうちに、彼はとりわけビリーが好きだということが分かりました。しかも、その好きさ加減が尋常ではない。

起きたら朝一番にビリーを聴き、
仕事中にもビリーを聴いている。

これだけでも、「ビリーって夜に聴くとしみてくる」と思い込んでいた私のビリー観が覆されましたね。それどころか、海水浴中にも、ビーチに寝そべりながらビリーを聴いているというのだから、筋金入りのビリー好きです。

また、彼は若かりし日、岐阜でコックさんの修行をしていたのですが、そんな彼が東京に出てきてデザイン事務所の社長になるまでのストーリーの中にも、大きくビリーが絡んでいる。

もう呼ぶにはこの人しかいない!と私が思うのも無理ないでしょ?(笑)

しかも、彼はビリーは好きだけれども、《奇妙な果実》はあまり好きではないときている(笑)。

楽しいビリーを伝え、ビリーにまとわりつく「暗い」イメージと先入観を取っ払うには、彼しかないでしょう!

もちろん、ダークで染みる要素もビリーの持つ本質のひとつです。
「本当は明るいんでーす! 暗いのは嘘でーす!」
というつもりは毛頭ありません。

しかし、まずは、ビリーをたくさん聞いてもらいたい。
そのためには、まずはビリーに親しんでもらいたい。

幸い、今回の番組で流す曲を互いに考え、
「せーの!」と選曲リストを見せ合うと、
あら不思議、
二人の好きなビリーの曲が7割がた一致したのです。

じゃあ、この流れで軌道修正しながら、あとはぶっつけ本番で行きましょう!ということになりました。

好きな曲をかけるのだから、放送のノリが悪くなるはずがない。

終始和気あいあい、笑いと弾んだトークに花が咲いたことは言うまでもありません。

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ではでは、我々がかけたビリーの曲は……?

今日は長くなってしまったので、
つづきは明日のお楽しみ~!!


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