バップ・トゥ・クール


ビ・バップの喧騒は、戦後、だんだんと人心が安定するにしたがって、一転して、こんどは沈みきったクール・ジャズへと進展しました。ジョージ・シアリングや、リー・コニッツ、そしてスタン・ゲッツは、バップ・コードをそのまま用いて、ヴィブラートのない冷たい音を出してバップの喧騒に対立しました。

ジャズ史上、このバップからクールへの転換ほど、突然変異をきたした出来事はありません。前古未曾有の現象でしたから、さすがジャズ・ファンもアゼンとして、横山泰三のハリガネ的直線マンガや、蒼風宗匠の前衛生花をみたときのような表情をしました。そして次の瞬間には、「あんな心細い音ならオレにも出せる」と思いました。(油井正一『ジャズの歴史』より)


ジャズの歴史 (1968年) [-] / 油井 正一 (著); 東京創元新社 (刊)

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