ジャズの歴史とウイントンがやろうとしたこと、要するに……


100年に及ぶジャズの歴史を、チャーリー・パーカー、マイルス、ウイントン・マルサリスの3人だけで総括しようと思えば、できないわけではない。パーカーがジャズをつくり、マイルスがそのパーカーがつくったものを極限まで引き伸ばし、ウイントンがそのマイルスが引き伸ばしたものをきれいにふたつに折りたたんだ。それがジャズ史の本質だろうと思う。したがってウイントンとパーカーは上下に重なり、ウイントンの視点に立てば、折りたたんだことによってジャズは伝統と初心を取り戻し云々という美談が成立する。だがそれは「なにも変わっていない」ことを意味し、ゆえにウイントンは、昔も今も虐げられたままの黒人の代弁者にならなければならないと考える。富裕層に属する黒人少年が教壇を見上げ、その教壇にトランペットというジャケットの構図は(『ブラック・コーズ』)、ウイントン自ら黒人少年たちにとって、"先生"でありたいという願望と使命感を表している。(中山泰樹&ジャズストリート『読んでから聴け!ジャズ100名盤』より)


読んでから聴け!ジャズ100名盤 (朝日新書 85) [新書] / 中山 康樹&ジャズストリート (著); 中山 康樹&ジャズストリート (編集); 朝日新聞社 (刊)


ブラック・コーズ / ウイントン・マルサリス (演奏) (CD - 2006)
ブラック・コーズ / ウイントン・マルサリス (演奏) (CD - 2006)

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック