被虐的な白人ジャズマンのニックネーム


白人⇒被虐的なニックネーム
黒人⇒偉い称号


言われてみれば、そのとおりですな。


ジャズ王国ではキングの地位を争って血みどろの争いが起り、初代のバディ・ボールデンは、二代目のフレディ・ケパードにその地位を奪取され、ケパードは、心ならずもジョー・オリヴァに破れ、オリヴァは、養子的ルイ・アームストロングに王冠を与え、一九五七年の現在、この王国は依然として、アームストロングの統治下にあります。


ルイ・アームストロングによって占められた王様の地位が、どうも、かれが死ぬまで取れる見込みがなくなると、同年輩のニグロはあわてまして、テンデ「公爵」「侯爵」「伯爵」「男爵」「大統領」に、自薦、他薦いりみだれ、ラッシュ・アワーの座席とりみたいに、ぞくぞく即位をいたし、これを中外にセンメイするという、イヤまことに被虐族にふさわしいメークビリーヴィングをやり出したしだいです。


白人が、「しかめっ面」のスパニアと、あ、「ピーウィと鳴く」ラッセルとか、気の毒な名前を貰っているのとくらべて、まるで天国と地獄みたいなもんです。要するに、優越感をかんじる奴ほど、あべこべにヘリクダッてみるという、いずれにしても小綺麗な心境ではなさそうですが、まあ、世わたりの秘訣として、被虐族をみたら、おおいに、「社長」、「専務」、「支店長」、「先生」、「大先生」とたてまつり上げることですな、このお話の教訓は―。
(油井正一『ジャズの歴史』より)



油井先生の本、面白いし、勉強になります!

ジャズの歴史 (1968年)/ 油井 正一 (著) 東京創元新社 (刊)


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