サッチモの全盛期は第二期



サッチモのキャリアーだけをたどるなら、かれのハイライトが、この第二期にあったことは夢疑いないと思います。かれの技巧は、さらに一段と冴え、フレイジングは精緻をきわめ、その才気に満ち満ちたるミュージカル・アイディアは、尽きるところをしらず、ここに、ジャズ芸術の頂点を示す一九二八年のサッチモが完成したのです。 “ウエストエンド・ブルース”、“マグルス”、“タイト・ライク・ジス”――一連の作品は、ジャズが到達し得た不滅の金字塔でありまして、万人がひとしく肯定するところでありましょう。

第三期。この時期は、サッチモの最悪の時期であると私は考えています。人気はますますあがり、最高音を発するトランペット王としてカツギ上げられたのが、かれの不運だったのではないでしょうか。心ないファンのテクニック尊重癖が、かれを脱線させたのだと思います。


ジャズの歴史 (1968年) [-] / 油井 正一 (著); 東京創元新社 (刊)

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