デューク・ジョーダンのハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン

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Flight To Denmark/Duke Jordan


長年、デューク・ジョーダンの「フライト」がつくアルバムは、有名な『フライト・トゥ・デンマーク』(スティープル・チェイス)よりも、『フライト・トゥ・ジョーダン』(ブルーノート)のほうが、断然ジャズっぽいと思ってました。


もちろん、今でも思っています。

フライト・トゥ・ジョーダン+2
フライト・トゥ・ジョーダン


骨太、ドッシリ、そしてセンチメンタルな側面もある、最高のバランスのアルバムだと思うんですよ。

音も、しっかりブルーノートサウンド。

だからこそ、こちらのアルバムが好きになってしまうと、どうしてもスティープル・チェイスから出ているピアノトリオ『フライト・トゥ・デンマーク』、線が細く感じてしまうんですね。

そう思うようになったキッカケ曲が《ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン》です。

まず、イントロがセンチメンタルすぎるというか、ポピュラーピアノっぽいシンミリっぷりだと思ったのね。

あと、ラスト。

ベースがブイ~ンと弦をスライドしてオシマイ。

なんか、終わり方のタイミングがズレちゃったのか、あるいは意図的な演出なのかは分からないけれども、なんとなく尻切れトンボな感じがした。

それに加えて、全体のピアノの雰囲気が、音大生の女の子がアルバイトかなんかで船上パーティなどでグランドピアノを弾いているような「パーティピアノ」みたいなニュアンスに感じた。


クラシックを勉強してきたんだけれども、ポピュラーピアノも弾けます、ジャズもバラードっぽい演奏なら、楽譜を見ながらですが、なんとなくジャズっぽい雰囲気で弾けます、……そんなノリで音大生の女の子がパーティの片隅にあるグランドピアノを弾くと、こんな感じの《ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン》になるんじゃないの? なんかあんまりジャズっぽくないやね。

……そう感じたことがキッカケで、長年、デューク・ジョーダンの『フライト・トゥ・デンマーク』は、私の中では、「女々しい」というか「か細い」アルバムとして位置づけられていたのですよ。


基本的にその思いは今もあんまり変わることはないのだけれども、先日、ふと聴きなおしてみたら、ちょっとだけ前言撤回。

《ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン》、音大の女子大生ピアノじゃないわ。

限りなくギリギリのラインで、ポピュラー・バラード・ピアノに陥る寸前で踏みとどまっている。

そして、ほんのりと滲み出てくるニュアンスは、ジャズの香り。

うーん、もっと分かりやすく表出させてくれればいいのに、その包み隠さんとするところが、デューク・ジョーダンという人の美学なのかもしれませんね。

いずれにしても、ちょっとだけ、私の中の『フライト・トゥ・デンマーク』の評価が上がりました。


▼収録曲
1.No Problem
2.Here's That Rainy Day
3.Everything Happens Tto Me
4.Glad I Met Pat (Take 3)
5.Glad I Met Pat (Take 4)
6.How Deep Is the Ocean?
7.On Green Dolphin Street
8.If I Did - Would You? (Take 1)
9.If I Did - Would You? (Take 2)
10.Flight to Denmark
11.No Problem (Take 2)
12.Jordu (Take 1)


▼レビューはこちらです。
フライト・トゥ・デンマーク/デューク・ジョーダン


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