スピーク・ロウ ウォルター・ビショップ・ジュニア



ウォルター・ビショップ・ジュニアの『スピーク・ロウ』。


このアルバムは、25年近く愛聴しているのですが、
で、しょっちゅう聴きまくっているのですが、
ドド・マーマロサの『ドドズ・バック』とともに、
こんなに聴いてもまったく飽きないピアノトリオというのも珍しいです。


ここ数年は、《スピーク・ロウ》のオルタネイトテイクの後半がツボ。

ベースソロの後、
そしてテーマに戻る前に、
「お約束」ともいうべき
ドラムとピアノの8バース(ソロの8小節交換)があるんですね。


ところが、別テイクだと、
サビの後の8小節のソロ、
ピアノもドラムも同時にはじめてしまうんですね。


流れからするとピアノではなくドラムの順番なんですが、
ウォルター・ビショップは、後半のAメロからは
ピアノソロを16小節弾いた後にテーマに戻ろうとしたのかもしれない。


しかし、ドラムのG.T.ホーガンは、ソロ交換の流れからすると
自分がソロを叩く番だと判断して叩き始めたのだと思う。


一瞬演奏が瓦解しそうになるんだけど、
そこは百戦錬磨のジャズマンたち、
なんとか帳尻合わせしてテーマに戻っていくんですね。


この一瞬の「戸惑い」と、
この混乱に対してどう収拾をつけていくのか、
その過程が面白いんですね。


楽器の音の向こうから
「あらら、やっちゃったよ」という声が聞こえてきそう。


でも、こういうことって、
ジャズ演っているとよく遭遇することで、
ジャムセッションでも時折生じる現象なので
珍しくないことなんですね。


細かな打ち合わせ無しで「えいやっ!」と演奏はじめて、
一瞬、「あれれ?」となって、
なんとか着地するスリルというのもジャズならではの醍醐味。


トラブルやハプニングは「ミス」ではなく、
ジャズらしさを味わうスパイスにすらなってしまうのです。


まあ、この《スピーク・ロウ》の場合は、
別テイクは後半の8バース含め、
ちょっと荒削り感があるので、
録り直ししたバージョンがマスターテイクになったんですが……。


マスター・テイクのほうが演奏の安定感があり、
アドリブの展開も充実してはいるんですが、
個人的には荒削りでラフで勢いのあるオルタネイトテイクも大好きです。


スピーク・ロウ
スピーク・ロウ

▼収録曲
1. サムタイム・アイム・ハッピー
2. ブルース・イン・ザ・クローゼット
3. グリーン・ドルフィン・ストリート
4. アローン・トゥゲザー
5. マイルストーンズ
6. スピーク・ロウ
7. サムタイム・アイム・ハッピー 別テイク
8. ブルース・イン・ザ・クローゼット 別テイク
9. スピーク・ロウ 別テイク



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カフェモンマルトル


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