放送第32回 ウェイン・ショーター特集(2)

今回のウェイン・ショーター特集のアフターアワーズ編(ミュージックバードのみでのオンエアです)では、ゲストの津上さんのアルトサックスと、私のベースで、《黒いオルフェ》をセッションしました。

冒頭に流したのは、ショーター初期のリーダー作『ウェイニング・モーメンツ』から《黒いオルフェ》。



ブラジルのボサ曲を4ビートでやるところがヘンですね~、

初期のショーターのテナーはスタン・ゲッツを意識していたのではないか? 

でも、ショーターの音はやっぱりショーターで、全然ゲッツに似てないとですね~

このような津上さんのコメントがはいりつつ、いざセッションへ。

ありゃりゃ、緊張していたせいで、後半のテーマの部分、自分が弾いている位置を見失ってしまったぞ~!

場所を見失うなんて、ベーシストとしてあるまじき行為(涙)。

4小節ほど、ヘンなところをさまよっている怪しい箇所がありますが、その箇所は耳をつぶって(?)聴いていてください。

本当は録り直しをするべきなのかもしれないけど、
それはそれで「味」でいいじゃん? 余興だし。ってことでOKにしちゃうところが、この番組のジャジーな(?)ところ(笑)。

というか、イイカゲンなところ?

この番組のアフターアワーズ編では、ゲストのジャズマンを招いたときのセッションは、いつもワンテイクで済ませてしまっています。

一発勝負。一期一会。

細かいミスや、やり直したいところを挙げるとキリがないので、潔く一回の演奏をもってOKにしちゃうという。
そのほうが私も集中度がアップするし。
でも、今回みたいにコケることもあるし(涙)。

でも、面白いですね。

過去にも何人かのジャズマンとセッションさせていただきましたが、「録り直しをしよう」と言った人はゼロなんですよ。

さすが、プロは違うというか、自分の出した音への責任感が違うなといつも肌身で感じている次第です。

「はい、あなたのレベルに合わせて演奏しましたよ。出来に関しては、あとはあなたたちで判断してください。」

演奏終了後のプロの方は、皆、そう言わんばかりの潔さと爽やかさがあるんです。

うーん、失敗しちゃったなぁ、あのときこう弾けばよかったなぁ、録り直ししようかなぁ、なんて心の中でウダウダしているのは私だけです。

一度、私の友人(セミプロ)をスタジオに招き、セッションを録音したことがあるのですが、そのときは
「もう一回!」
「すいません、あと一回だけ!」
「これで最後です、もう一回!」
の連発で、結局その日は2本の番組を収録する予定だったのが、番組1本分の時間が録り直しで潰れてしまったことがあります。

もちろん、せっかく演奏してくれた彼のことを責めているわけではありません。

プロとセミプロの違いを感じた、ということを書きたいのね。

彼もセミプロで、アメリカでは10年間ライブハウスで演奏をしていた人だし、バークリー出身の人たちとバンドも組んでいたほど、腕前としてはかなりの人なんです。

でも、レコーディング経験はないし、
技術はあっても、音楽が本職というわけではない。

音を出す責任感や真剣度が甘いというわけでは決してありませんが、それでも、プロの方との演奏と、超アマチュアレベルの人との演奏では、明らかに大きな違いを、肌身で感じました。

「プロの壁」というものは、やはり厳然としてあるのだな、と。

単に楽器の操作が巧いだけではなく、出した音に迷いや悔いを残さないこと。これもプロとアマの大きな壁の一つだと感じています。

本当は迷いがあるのかもしれませんが(笑)、少なくとも人前ではそのような気配はまったく出しませんね。

プロならではの音の責任感と、音離れの良さ。

こういうことは、言葉で書くと簡単だし、誰もが「あたり前じゃん、そんなこと」と思うかもしれません。

私も、頭の中ではそのとおりだと思ってはいました。
しかし、実際にいろいろな方と実際にお手合せさせていただくうちに、このことを、よりいっそうリアルに実感している今日このごろです。

本当、彼らの素晴らしい演奏を、私のつたないベースでトーンダウンさせてしまって申し訳ないなと思うと同時に、「うまくなりたければ、自分よりもうまい人とやれ」という格言に従い、プロの皆様相手に、最高の練習を、これからもさせていただこうと思います(笑)。

お相手してくださった方々に感謝です。

この記事へのコメント