放送第33回『ピアノレストリオ』(3)

今回のピアノレストリオ特集の選曲にあたり、最後まで取り上げるべきか悩んでいた1枚があります。

最近話題のジョシュア・レッドマンの新譜『コンパス』ですね。




1枚ぐらい最新のアルバムを取り上げてもいいかな? という気持ちはありました。

しかし、この新譜のピアノレストリオは、今回番組で取り上げたピアノレスの演奏とは大きくサウンドの方向性が異なる内容に感じたのですね。

ロリンズやコルトレーンらのピアノレストリオは、サックス、ベース、ドラムの3つの楽器の「力」が大きく1点に収斂&凝縮してそれが演奏の推進力となっている。

こちらが圧倒されてしまうほどのエネルギーを感じるのは、3人の演奏者が向う方向性が明確なので、一体感があるから。
まあ要するに「分かりやすい」演奏なのです。

ストレートに感情移入しやすいんです。

無理やり図にすると、
 ↓
→●← な感じね(笑)。


ところが、ジョシュアの新譜は、その逆で、
 ↑
←●→ な感じ、というのかな。

それぞれの楽器が、必ずしも一点の方向に向かっているとは限らない。

一転に向かって凝縮する瞬間もあるけれども、次の瞬間は拡散に向かうこともある。

恐らく、それがジョシュア率いるトリオ(※トリオじゃない編成の曲もあります)の演奏上の狙いなんだろうけれども、それぞれの楽器の力点がたえまなく移動するため、鑑賞のポイントが掴みづらいのですね。

私のようなトロい人間には、1回や2回聴いたぐらいで直観的に分かる類の演奏ではないのです。

ジョシュアのテナーサックスも、きちっとメリハリのある構成を構築しようという意思は最初から放棄しているかのようです。むしろ時間の流れとともに微変化してゆく気分のなすがまま、漂うかのごとき演奏を展開している。

それゆえに、パワー感が全体的に希薄に感じるんですね、正直。
べつにパワー感がなくてもいいのですが、少なくとも、番組中にかけた他の演奏と比べると、あまりに異質なので、今回は見送りました。

「こういうタイプの違うピアノレスもあるよ」という切り口もあったとは思いますが、あくまで初心者対象が大きなコンセプトなので、分かりやすさを優先させていただきました。

とはいえ、ジョシュアの新譜、全曲ぶっつづけで聴きとおすにはかなりの体力というか忍耐が必要ですが(笑)、単に「パワー不足」や「難解」という言葉では片付けられない、「なにか」が込められているように感じられてなりません。

まだ7回ぐらいしか聴いていないので、私としては安易な「イイ・悪い」の審判を下すのは避けたいと思っています。

聴きどころや、新たな良さを発見したら、メルマガにでもレポートを書いて配信したいと思っています。

あまり期待しないでお待ちください(笑)。

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