放送第43回『サマータイム』(3)

番組中で、ちらりと《サマータイム》と、《セントルイス・ブルース》の冒頭のメロディの近似性を指摘してみました。

《サマータイム》は、ジョージ・ガーシュインの作曲。
《セントルイス・ブルース》は、ガーシュインが尊敬していた作曲家、ウィリアム・クリスティ・ハンディ(W.C.ハンディと表記されることが多い)の曲です。

番組中では、ルイ・アームストロングの《セントルイス・ブルース》の一部を比較の意味でかけたのですが、冒頭の数小節(転調する前まで)をかける予定だったのですが、実際のオンエアでは、どうしたことか、テーマ全部がかかってしまっていたので、かえって《サマータイム》との冒頭のメロディとの比較が困難だったかもしれませんあせあせ(飛び散る汗)

しかし、《サマータイム》も《セントルイス・ブルース》も、出だしの ♪タ~ララ~(タラ~ララ~)のメロディはそっくりなんですね。

これは、ガーシュインがハンディのメロディをパクったのかというと、一概にそうとは言い切れないかもしれません。
ハンディのことを尊敬するガーシュインのこと、体内に刷り込まれた《セントルイス・ブルース》のメロディが無意識に出てきたのかもしれません。

実際、そのあとの曲の展開はまったく違いますしね。

さて、そのハンディ作曲の《セントルイス・ブルース》自体も、メロディは100%、ハンディの作曲ではない。
黒人女性がふっと歌った一節を取り入れ、キチンとメリハリのあるひとつの曲に昇華されているようです。

ハンディは、若い時分、黒人霊歌や労働歌のメロディ採集のために、アメリカ、とくに南部を中心に放浪生活をしていました。

セントルイスで一文無しになってしまったハンディ。
宿には泊まれず、橋の下で寝るしかなかったハンディですが、幸いにも彼のことを世話をし、優しくしてくれた黒人女性が出現。
その彼女が、ふと口ずさんだメロディが《セントルイス・ブルース》のモチーフになっているそうです。

オペラ『ポーギーとベス』は、出演者全員が黒人です(警官役は白人だけど)。
つまり、この中で歌われる楽曲を作曲するにあたって、もしかしたらガーシュインは黒人特有のメロディを意識して作曲したのかもしれません。

とすると、《セントルイス・ブルース》の冒頭にそっくりの、♪タ~ララ~ というメロディは、ガーシュインも耳にした黒人特有の旋律なのかもしれないですね。

そんな想像を逞しくしている私ですが(笑)、《セントルイス・ブルース》のオススメバージョンは、なんといっても、ルイ・アームストロングの《プレイズ・W.C.ハンディ》でしょうね。

サッチモ(ルイ)の力強いラッパとヴォーカルは何度聴いても飽きません。

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