網走のアート・ペッパー~《ボディ・アンド・ソウル》


アート・ペッパーの魅力は、
露骨に訴えかけないところ。


しかし、露骨じゃないからといって、
クールなのかというと、そういうわけでもなく、
こちらがキャッチできるほど、
訴えかけてくるものは具体的で分かりやすい。


でも、「これみよがしな訴えかけ」ではなく、
かといって、分かりにくい訴えかけ方でもなく、
比較的ストレートではあるんだけれども、
チラリとわかりやすく訴えかけてくる。


で、この訴えかけのボルテージなんだけど、
年代によって、ずいぶんと変化してきていて、

初期のペッパーの訴えかけは、
非常にスマート。

さらりと、しかし確実に聴き手の琴線のツボをついてくる。

それが後期になってくると、
比較的、大味になってくる。

もちろん、それが悪いというわけではない。
むしろ、己の情動や表現欲求に対して忠実になってきているように感じる。


人間、変化するものだし、
だからこそ楽器を通して出てくる内容もずいぶんと変わってくるものだ。


たとえば、《ボディ・アンド・ソウル》。

1957年の『ジ・アート・オブ・ペッパー』と、
24年後の1981年に網走で演奏された
『アンリリースド』を聴き比べてみると興味深いと思うよ。


pepper.png


どちらも良い。
どちらも素敵なバラード表現だ。

ただ、アルトサックスの表情はずいぶんと異なる。

チラリかストレートか。

もちろん、後期のペッパーだって、
あまりにも露骨な表現はしていない。

だけど、初期の演奏と比べると、
ずいぶんとストレート、かつ直情的になっているなとは思う。

それが悪いというわけではなく、
むしろ、愚直なほどにストレートなスタイルに変わってきているんだなと思わせる点が興味深い。

さて、あなたは、どちらの《ボディ・アンド・ソウル》が好み?